――2022年のファイナリストの感想は。
強烈なメンバーですよね(笑)。発表会見でMCのかまいたち山内さんが言った「誰が優勝しても違和感がある」という言葉がすべて。コント寄りの人が多いし、吉本っぽさ、大阪っぽさが薄くて、王道のしゃべくり漫才が少ない。もう「これは漫才なのか」とか言ってるレベルじゃなくなってきた感じ。
漫才か漫才じゃないか論争ってありましたけど、あれ、うるさいですよね。マイクがセンターにあって2人で喋ってたら漫才でいいと思います。だいたい、ギター漫才もあるし、テツandトモも決勝に出てたし。セットを組んだりしなければ漫才でいいんじゃないですかね(笑)?
――能町さんがお笑い好きになったルーツが気になります。
私の世代のお笑い好きってほぼみんなダウンタウンフォロワーなんですけど、私は中高生の頃にテレビを見てなくて……見せてもらえなかったとかではなく、テレビが居間にしかないし、親からチャンネル奪ってまで見る気もなかった。大学から一人暮らしで、夜遅くまでテレビを見だした1997年には、すでにダウンタウンは深夜番組というイメージではなくなってました。「ごっつええ感じ」もその年に終わったから、ダウンタウンが超勢いある時期をほぼスルーしていて。その頃の深夜番組によく出てたのは海砂利水魚(くりぃむしちゅー)、ふかわりょうさん、つぶやきシローさん、Take2、U-turn、X-GUN……。
すごく好きだったのが「ブレイクもの!」(1998年1月〜9月放送)ですね。マーシー(田代まさし)と千秋が司会をやってた深夜番組で、「ボキャブラ天国」で人気が出たような人たちが3組ほど出て長めのネタをやる。途中、ゴングショーコーナーで若手が短いネタをやって、5週勝ち抜いたら長めのネタができる、みたいな。クワマンさん(桑野信義)がゴングショーのMC。そこで初めておぎやはぎを見ました。でも、負けてたんですよね。勝ち抜いたのは代田ひかる(現:だいたひかる)、カラテカ。カラテカのネタって知られてないですよね。コントでした。バカバカしくて面白かったですよ。代田さんは衝撃的でしたねー。みんなが知ってるあの感じですけど、一人でぽつんと出てきて、ぼうっとした感じでボソッと喋ってめちゃくちゃ面白い。そんな女の人いなかったからびっくりしました。底ぬけAIR-LINEも好きでしたねぇ。まさか古坂さんがあんな形で再び世に出るなんて……。
私はお笑い好きとしては超遅咲きで、いま誰も語ってなさそうなシーンから見始めてる。お笑いのビデオも借りてよく見てましたけど、遡って後追いはあまりしてなくて、その時好きだったつぶやきシローさんのビデオはよく借りてたのを覚えてます。その後は「内村プロデュース」(2000年〜2005年)が大好きでした。当時の私の好みって、吉本感が薄くて、徹底して関東っぽいですね……。
2022.12.15(木)
文=ライフスタイル出版部
撮影=佐藤 亘