後鳥羽は実朝の名付け親でもあり、義時に不信感を募らせば募らすほど実朝は後鳥羽を頼るようになっていく。
「後鳥羽上皇が名付け親であることはすごいことですよね。実朝にとって、父の頼朝は偉大すぎて、父のようにふるまいたいがふるまえないことがコンプレックスでもあった。兄で2代目・鎌倉殿である頼家(金子大地)に対してもそうで。頼朝とも頼家ともしっかり関われないまま育ってきたなかで、名付け親の後鳥羽上皇を手本のように思って影響されていたと思います。自分に力のない分、京都との関係を深くして、後鳥羽上皇の力をお借りすれば、状況がよくなると思っていたのではないでしょうか」(TVブロスWEBのインタビューより)。
良かれと思ってしたことが人間関係をかき乱し、悪化させてしまう、哀しい状況のなかで、実朝はどうなるのか。
『鎌倉殿』はどんどん人が死んでいく物語だが、登場人物が死ぬたび、演者が話題になる。木曽義高役の市川染五郎、源頼家役の金子大地、畠山重忠役の中川大志、和田義盛役の横田栄司、阿野全成役の新納慎也、源範頼役の迫田孝也、善児役の梶原善……とその最期は語り草となってきた。
物語も終盤、3代目鎌倉殿・実朝もそろそろ……。柿澤・実朝は『鎌倉殿~』に爪痕を残せるだろうか。そして『東京ラブストーリー』ではどんなカンチを演じるのだろうか。思い悩む実朝の表情を見ながら、カンチがリカとさとみに翻弄されて困る顔を想像している。
※1 舞台『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』には、柿澤勇人だけでなく比企能員役の佐藤二朗、和田義盛役の横田栄司、範頼役の迫田孝也と『鎌倉殿~』出演俳優大集合だった。
2022.11.27(日)
文=木俣 冬