歴史ある温泉地、伊東は現在放映中の「鎌倉殿の13人」ゆかりの地としても注目のエリア。古き良き湯の街情緒を感じるどこか艶っぽい街並み、ここにしかない美味が待っている。

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昭和レトロな温泉街をてくてく歩いて海に出る

 オレンジ色の屋根が愛らしい駅舎を出ると「ようこそ伊東温泉へ!」の看板。南国風の植栽がユルいリゾートムードを漂わせ、旅人の心もゆるませる。

 伊東は、別府、由布院、奥飛騨と並び、日本有数の源泉総数と総湧出量を誇る一大温泉地。大正から昭和にかけての最盛期には、市街地を流れる松川沿いに木造三階建ての温泉旅館が建ち並び、「湯の花通り」や「キネマ通り」などの商店街や歓楽街が発展した。

 いまではすっかり長閑だが、街を歩けば往時の艶っぽいムードもチラホラ。味のある個人店が多く残り、ローカルフードや喫茶文化も楽しみのひとつだ。市の観光ブランドブックにあった「多様性というより雑多感」という言葉がすべてを物語っている気がした。

 街のランドマーク「東海館」の対岸あたりから、松川沿いにのびる素敵な遊歩道を南にゆっくり10分ほど歩くと、辿り着くのが「音無神社」。今年のNHK大河ドラマの主要人物、若き日の源頼朝が、恋人の八重姫(伊東領主・伊東祐親の娘)と逢瀬を重ねた場所といわれ、安産・縁結びのパワースポットでもある。

 界隈には、伊東家ゆかりの史跡が点在し、海に出れば徳川家康の外交顧問・三浦按針の像。果たして伊東との繋がりは? そんな歴史探訪も楽しめる、奥深い街なのだ。

●湯冷ましつぶやき

伊東駅から海までは徒歩10分余り。観光名所はだいたい徒歩で巡ることができるコンパクトさがいい。昔ながらのスナック文化が健在なので、じつは夜の街歩きも楽しい。

2022.06.30(木)
Text=Yuki Ito
Photographs=Atsushi Hashimoto

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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