歴史ある温泉地、伊東は現在放映中の「鎌倉殿の13人」ゆかりの地としても注目のエリア。古き良き湯の街情緒を感じるどこか艶っぽい街並み、ここにしかない美味が待っている。
昭和レトロな温泉街をてくてく歩いて海に出る
![昭和初期に建てられた木造三階建ての温泉旅館「東海館」。現在は観光・文化施設となっている。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/5/-/img_05bc2257261ee0b6a3792330dee14d5c124291.jpg)
オレンジ色の屋根が愛らしい駅舎を出ると「ようこそ伊東温泉へ!」の看板。南国風の植栽がユルいリゾートムードを漂わせ、旅人の心もゆるませる。
![伊東駅には観光案内所や売店、カフェも併設。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/f/-/img_af0b5b8155aa984ab5ba394d2c87a44d135036.jpg)
![静岡県最古の交番建築を利用した、観光案内所「伊東観光番」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/7/-/img_87cecd26e968437fd1369fffbe13f5d9283158.jpg)
伊東は、別府、由布院、奥飛騨と並び、日本有数の源泉総数と総湧出量を誇る一大温泉地。大正から昭和にかけての最盛期には、市街地を流れる松川沿いに木造三階建ての温泉旅館が建ち並び、「湯の花通り」や「キネマ通り」などの商店街や歓楽街が発展した。
![日没後は約400本の竹あかりが松川沿いの遊歩道を照らし、幻想的なムード。湯上がりの散策に最適。
「伊東温泉 竹あかり」点灯時間/毎日18:00~22:00、点灯エリア/松川遊歩道(東海館前~音無神社)](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/2/-/img_82af24759120b14e79d701574030c509169474.jpg)
「伊東温泉 竹あかり」点灯時間/毎日18:00~22:00、点灯エリア/松川遊歩道(東海館前~音無神社)
いまではすっかり長閑だが、街を歩けば往時の艶っぽいムードもチラホラ。味のある個人店が多く残り、ローカルフードや喫茶文化も楽しみのひとつだ。市の観光ブランドブックにあった「多様性というより雑多感」という言葉がすべてを物語っている気がした。
![駅から歩いてすぐの湯の花通り商店街は、みやげ物店、食事処、カフェなどが軒を連ねる賑やかなエリア。点在する「お湯かけ七福神」に湯をかければ願いが叶うとか。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/5/-/img_450be6cdc0a067b732cb69d8ac137391138886.jpg)
![キネマ通り商店街の角地に建つ「スイートハウスわかば」は、1948年創業の名喫茶。後口さっぱりのソフトクリームをはじめ、プリン、ホットケーキ、あんみつなど、ほとんどのメニューが自家製ですこぶる美味。ソフトクリーム(写真左)はテイクアウトOK!](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/6/-/img_4640289ffeef8983a540ddc4b90002d3104460.jpg)
街のランドマーク「東海館」の対岸あたりから、松川沿いにのびる素敵な遊歩道を南にゆっくり10分ほど歩くと、辿り着くのが「音無神社」。今年のNHK大河ドラマの主要人物、若き日の源頼朝が、恋人の八重姫(伊東領主・伊東祐親の娘)と逢瀬を重ねた場所といわれ、安産・縁結びのパワースポットでもある。
![愛し合う頼朝と八重姫が密かに合っていた場所「音無神社」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/0/-/img_b0590125df1a5c14d028dd3cc3bc933282844.jpg)
![頼朝が八重姫と密会するため日暮れを待ったとされる場所にある「日暮神社」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/c/-/img_7c58346c7d5eaa3eab73cbdfde18b60a374172.jpg)
界隈には、伊東家ゆかりの史跡が点在し、海に出れば徳川家康の外交顧問・三浦按針の像。果たして伊東との繋がりは? そんな歴史探訪も楽しめる、奥深い街なのだ。
![相模湾に面した公園にたたずむ三浦按針像。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/e/-/img_0e2cb1833d385e8ac6b8101e670455b3149791.jpg)
●湯冷ましつぶやき
伊東駅から海までは徒歩10分余り。観光名所はだいたい徒歩で巡ることができるコンパクトさがいい。昔ながらのスナック文化が健在なので、じつは夜の街歩きも楽しい。
2022.06.30(木)
Text=Yuki Ito
Photographs=Atsushi Hashimoto
CREA 2022年夏号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。