――連載第3回にある〈16年にできた祝日「山の日」の式典の後、長野県の上高地を散策する家族3人の姿は、自然な光景として山に溶け込んでいた。最近の陛下は、1人での登山でも、すれ違うほぼ全員に声を掛け「一緒に写真はどうですか」と自ら誘うほどの親しみやすさを見せるという〉(2019年9月19日、47NEWS)というエピソードも初めて知ってびっくりしました。雅子さまと愛子さまがご一緒だと、人間味やユーモアあふれる言動が出やすいような気がします。

大木 そういえば、雅子さまとの結婚の前後から陛下の「山ファッション」が急激におしゃれになったように感じられて、ほほえましく思いました。陛下と雅子さまの初めての2人での登山は1994年6月、東京・奥多摩の高水三山(793メートル)でした。同年9月には北海道・知床の羅臼岳(1661メートル)へ登り、ごく普通のカップルの登山者といったご様子だったそうです。

雅子さまと愛子さまを支えるご姿勢

――公務や訪問先で雅子さまがご一緒だと、天皇陛下はとても嬉しそうになさいます。今年の誕生日会見では、愛子さまが成年皇族になられた心境について、「小さかった愛子がもう二十歳になった、そして大人の仲間入りをした、そういうような深い感慨を覚えました。そして今後とも、本当に幸せな人生を歩んでいってほしいというように、そのように心から願いました」とおっしゃいました。

 陛下が雅子さまと愛子さまを支えるご姿勢は、変わらないですね。やはり陛下は、これと決めたものはずっと続けるタイプの方なのでしょうか。

大木 こと登山に関しては、その通りだと思います。ちょっと他のエピソードは分からないのですが。陛下は1993年に幼少時代を振り返り、著書『テムズとともに』でこのように書かれたことがあります。

「外に出たくともままならない私の立場では、道を通ることにより、今までまったく知らない世界に旅立つことができた」

2022.11.24(木)
文=大木 賢一,佐藤 あさ子