10月22日・23日と、即位後初めて沖縄を訪問された天皇皇后両陛下。国民文化祭の開会式では、1997年に皇太子として沖縄を訪れた際と同じく、淡いグレーのスーツにイエローグリーンのネクタイでお出ましになった。雅子さまも当時を思わせるイエローのアンサンブル。両陛下の“25年変わらぬ沖縄への想い”が感じ取れる装いだ。
なかでも注目を集めたのが、陛下のネクタイの絣模様である。
天皇陛下のネクタイに込められた“祈り”
「私たちの“八重山ミンサー”が陛下の胸元に……思わず涙があふれました」
そう声を詰まらせるのは、石垣島で織元「あざみ屋」を営む、大浜公江さん(72)だ。
「私どもがずいぶん前に発売したデザインで、25年前の沖縄訪問でも、同じネクタイを締めておられました。八重山ミンサーは、琉球王国時代から受け継いできた織り模様で、5と4を表しています。いつ(5つ)の世(4)までも末永く幸せであるよう、祈りを込めて織り上げるのです」
実は今年5月15日の「沖縄復帰50周年式典」でも、陛下は八重山ミンサーが織られたネクタイを胸にお言葉を述べられた。こちらは紺地で、同じくあざみ屋が手掛けたものだと大浜さんは語る。
「当日の中継を観て、目が釘づけになりました。紺のネクタイも20年以上前に発売したもので、今ではもう手に入りません。何年も大切にされて歴史的な節目に締めてくださったのだと思うと、もう、胸がいっぱいで……言葉になりません」(同前)
大浜さんの母は、ミンサー織を美智子さまの前で披露したこともあるという。
「ミンサーのネクタイやバッグもお求めいただいて、お心を寄せてくださったそうです。それから何十年も経ちますが、陛下のお姿には、上皇后さまから受け継がれた沖縄への真心が感じられました。永遠の平和を、沖縄の祈りを、その胸に表現してくださったのだと思います」(同前)
2022.11.05(土)
文=「週刊文春」編集部