ライフネット生命保険の「妊娠・出産時のお金に関する調査」(25~39歳の出産から3年未満の女性1000人を対象)によると、健診や通院・入院・分娩にかかる自己負担の平均額は27.3万円でした。多かった回答として、「1~20万円」が55.0%、「41万円以上」が27.5%と自己負担の金額にばらつきがあることもわかりました。
妊娠・出産にかかる2大支出は「妊婦健診」と「出産費用」です。正常妊娠・正常分娩は病気ではないため健康保険の対象にはなりません。健康保険証を持って医療機関にかかると、お会計は通常3割負担ですが、それが10割負担ということです。妊娠・出産を考えている女性は高額になる「かかるお金」と公費などで「もらえるお金」を理解して、不足分は貯金で準備しておきましょう。
妊娠をすると、妊婦健診を14回程度受けることになります。厚生労働省は妊娠初期から妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24週から妊娠35週までは2週間に1回、妊娠36週から出産まで週1回程度の受診をすすめています。妊婦健診にかかるお金は医療機関にもよりますが、都内の病院では1回1万円程度、妊娠初期に受ける血液検査は2万円程度かかる場合があります。
そこで活用したいのが、自治体の「妊婦健康診査受診費助成金交付制度」です。医師からの指示を受けた後、自治体の担当窓口などで「母子手帳」や「妊婦健診検査受診票」などを受け取ります。母子手帳と妊婦健診検査受診票を持って医療機関で健診を受けると、会計時に公費負担分の割引があります。
公費負担の上限を超える場合は自己負担になり、妊娠をしているかどうかを調べるための検査には利用できません。東京都江戸川区の場合、公費負担の1回目上限額は8440円、2回目以降上限額は5150円、超音波検査上限額は5300円です。
公費負担額は各自治体によってさまざまで、全国平均は9万6699円です。都道府県別で公費負担が最も高かったのは山口県の11万6315円、最も低い都道府県は神奈川県の6万2607円です。大阪府は6万7793円、東京都は8万498円と全国平均よりも低くなっています(厚生労働省 妊婦健康診査の公費負担の状況について、2012年4月1日現在)。妊婦健診にかかるお金を15万円程度と想定すると、たとえば東京都の場合、7万円程度は貯金をしておいたほうがよさそうです。
2013.10.27(日)
text:Yoko Hanawa
photographs:Fotolia