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 2022年9月23日、西九州新幹線「かもめ」が開業! 博多駅から長崎駅まで最速1時間20分で行けるようになりました。さらに10月から始まったNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』の舞台として五島市が登場。そんなわけで、今、俄然注目を集めているのが長崎県なんです。

 そこでCREAでは、おもに長崎ビギナーに向けて、その中心である長崎市のとっておきスポットをジャンル別に5回に分けて紹介します! 第1回である今回は長崎市の「ご当地グルメ」に注目。全国旅行割も始まった今、過ごしやすい季節にぜひ長崎観光を楽しんでみては。

» まずは定番!「中華料理 四海樓」のちゃんぽんと皿うどん
» 皇室御用達のふわふわのカステラ「長崎菓寮 匠寛堂」
» 生産地から直接買い付けたからこそのおいしさ!「カリオモンズコーヒー 長崎」


異文化との交流がもたらした、数々のご当地グルメを体感!

 まず注目したいのが、食です。長崎は出島が拠点の南蛮貿易や唐人屋敷が拠点の唐人貿易、はたまたキリシタン文化に代表されるように、古くから異文化との交流が盛んだった地域。それは食にも影響を与え、今にも継承される独自のフードカルチャーを形成しています。

 長崎発祥の食べ物も多く、伝統の味わいを守る店もあれば、現代風にアレンジする店もあり、それが長崎の食文化に多様性と奥行きをもたらしています。

 では、どんな店で、なにを食べたらよいのか? 初めて長崎を訪れる人たちに向けて鉄板ともいえる店をラインナップしました!

長崎で絶対に外せないド定番の中華料理店

 長崎を代表する名物料理のひとつがちゃんぽんです。実はこのちゃんぽん、海外から伝わった料理ではなく、この地で生まれた料理だってことをご存知ですか? つまり発祥のお店が存在するんです。それが1899年創業の「中華料理 四海樓(しかいろう)」。

 ちゃんぽんのルーツは、中国の福建料理「湯肉絲麺(とんにいしいめん)」にあります。これは麺を主体に豚肉、椎茸、筍、ねぎなどが入ったあっさりしたスープ料理で、この「湯肉絲麺」を日本風にアレンジして、ちゃんぽんというオリジナル料理を生み出したのが、四海樓初代代表の陳 平順(ちん・へいじゅん)さんなんです!

 長崎市内にはちゃんぽんを食べられる店が1000軒以上あると言われていますが、そこから旅行中に食べる数軒を選ぶとしたら、やはり発祥の店は外せませんよね。

”元祖”ちゃんぽんは上品な味わい

 発祥の店で食べられるのは、いわば”元祖”のちゃんぽん。食レポすると、クリーミーでコクがありながらも、格式高い店構えを象徴するような上品な味わいです。

 野菜は適量で太麺とのバランスがよく、するするっと完食できます。

 ここのちゃんぽんを食べずに、ちゃんぽんを語るべからず、なーんて感じでドヤ顔したくなる一杯です。

皿うどんも四海樓で生まれた長崎名物

 実は四海樓初代代表の陳 平順さんが考案したのは、ちゃんぽんだけではありません。同じく長崎名物として知られる皿うどんは、中国料理の「炒肉絲麺(ちゃあにいしいめん)」をベースに、陳さんがちゃんぽんのバリエーションとして編み出した料理なんです。

 四海樓では、細切りにしたイカ、エビ、かまぼこ、キクラゲ、豚肉などを太麺の上にのせた皿うどんのほか、同様の具にとろみをつけたものを油で揚げた細麺にかけた「炒麺」、「そぼろ皿うどん」(八宝菜風餡かけ)、「炒肉絲麺」(肉皿うどん)がメニューに並びます。

 複数人で四海樓を訪れた際は、全員違うメニューを頼んで食べ比べてみるのもオススメ。長崎の食文化の重層感を楽しむことができるはずです。

中華料理 四海樓

所在地 長崎県長崎市松が枝町4-5
電話番号 095-822-1296
営業時間 レストラン11:30~15:00、17:00〜21:00(20:00 L.O.)
     四海樓名店街(土産店) 10:30~17:30
     ちゃんぽんミュージアム 11:30~20:00
定休日 不定休
https://shikairou.com/

2022.10.22(土)
文・写真=石川博也