この記事の連載

皇室にも献上する上質なカステラを味わう

 長崎と言えば、カステラも有名ですよね。およそ400年前にポルトガル人からこの地に伝えられた銘菓で、市内では多くの専門店が、さらなるおいしさを求めて日々鎬を削っています。昔ながらの製法で作られるカステラ以外に、原料にカカオや抹茶を使うなど時代に合わせて開発された新たな商品も登場。ひとつの店舗だけでなく、複数の店に立ち寄り、自慢のカステラを食べ比べる楽しさも。

 例えば「長崎菓寮 匠寛堂」のカステラは、材料に添加物を一切使わないことや、熟練の職人が手間ひまかけて焼き上げることで知られています。できあがったカステラは皇室や宮家にも献上されるほど上質で、長崎のカステラを代表する名店のひとつとして地元民、観光客の双方から愛されているんです。

焼きたてのカステラはふわふわぷるぷる!

 「長崎菓寮 匠寛堂」を訪れたら、お土産を購入するだけでなく、ぜひ併設されている「茶房 ”玉響(たまゆら)”」に入ってみてください。喫茶スペースになっていて、ここでしか食べられない貴重なカステラがあるんです! それが「煌(きら)かすていら」。

 カステラは、焼き上がったあとにひと晩寝かせて熟成させたものを提供するのが一般的ですが、その常識を覆したのが「煌かすていら」。なにがすごいって、その日に焼かれた作りたてがいただけるんです。

 驚くのがそのやわらかさ。お皿を左右に揺らすと上にのったカステラがプルプルと揺れ動くほどやわらかで弾力があります。楊枝で切ろうとしても、全体がへにゃっと曲がってうまくいきません。それをなんとかカットして口に入れると、ふわふわと溶けるような食感に思わず感涙。そして、甘さは控えめです。

 カステラに合わせるのは、特別にブレンドされた日本の銘茶。長崎・東そのぎ産の「蒸し製 玉緑茶」や福岡・八女星野村産の「伝統 本玉露」などとともにいただけば、カステラのやさしい甘さが引き立ちます。

長崎菓寮 匠寛堂

所在地 長崎県長崎市魚の町7-24
電話番号 095-826-1123
営業時間 9:00~18:30
定休日 元日
https://www.shokando.jp/

2022.10.22(土)
文・写真=石川博也