岡村 結局、盲信の快楽って、「迷わなくていい」という快楽なんですよね。人間って根源的な恐怖や不安を抱えているじゃないですか。自分は何歳まで生きるのか、子どもが生まれたら元気に育つのか、お金に不自由したりしないか。未知数なものがあればあるほど不安になるし、何かに頼りたい、信じたいと思ってしまう。だから、パワーストーンみたいなものでも一喜一憂してしまうし。

オリジナルのやり方で神社で祈っている

村田 大学生の頃、パワーストーンのアクセサリーが流行りました。恋が叶う腕輪とか(笑)。

岡村 パワーストーンを身に着けると仕事がうまくいった、彼氏とアツアツになった、なにかしら成功体験があると、「あれ? 運気が上がるかも」と。そういうことで人は簡単に信じてしまう。「信じたい」のだろうと思うけど。

村田 縁起を担ぐという意味では、私の場合はブラジャーなんですね(笑)。例えば、今日のような対談があったりすると、「このブラジャーだと和やかに話せる」とかそういうのがあって。そんなわけないとわかっていても、心が安心するから本当にリラックスできてしまったりします(笑)。

岡村 村田さんって信心深いほうですか?

村田 私は親に無宗教だと言われたので、子どもの頃からオリジナルのやり方で神社で祈るんです。神様にいろいろ話しかけたり感謝したり、そうすると、神様からのお返事がおみくじとして自分に届く、というマイルールがあって。

岡村 神様からのお手紙?

村田 自分の妄想ですが(笑)。

 

岡村 おみくじで「凶」が出たらどうします? 僕は「大吉」が出るまで引き続けますが(笑)。

村田 いろいろ欲を出してしまったのを神様は見抜いてらっしゃる、と思いますね。戒めだと。

無宗教を「無」という神様を信じる宗教だと思っていた

岡村 そういえば、村田さんはお父さんが元裁判官でいらっしゃると聞きました。理知的なご家庭だったゆえの宗教観ですか?

村田 うーん、理知的かどうか。ただ、宗教に関して言うと、小学生のとき、クラスで自分の家の宗教が話題になったことがあったんです。「それぞれの家には、それぞれの神様がいるらしいよ」と。で、父に聞いたんです。「うちは何教なの?」って。そうしたら「うちは無宗教だよ」と。私はそれを、「無」という神様を信じる宗教だと思ったんです(笑)。すごい神様だって感動しました。それからは、「無」に祈るようになって。

2022.10.16(日)
Text=Izumi Karashima