「世の中知らないことの方が多い」と思って生活している

――ここまで脚本の読み方から現場での居方まで、永野さんの表現について伺ってきました。永野さんはサーフィンや各種楽器等々、非常に多才ですが表現力を高めるためのインプットはどのようなことを実践されているのでしょう?

 実は、表現力を磨くためにやっていることはそんなにないんです。現場で先輩方のお芝居を観たり、監督によって演出が全く違うので「そういう捉え方もあるのか」と学んだり……。一つ作品を終えるごとに自分は絶対に一つ成長できていると思っているので、現場に育ててもらっている感覚があります。

 映画やドラマも好きでよく観ますが、何気なく観て「めっちゃ面白かった」「あの人の表情がすごく良かった」というのを自然に、無意識的に採り入れている気がします。

――「表情が良い」という着眼点は、さすが役者さんですね。その部分で、印象的だった映画にはどんなタイトルがあるのでしょう。

 すごく記憶に残っているのは、『ヘイト・ユー・ギブ』です。人種差別という題材を取り扱っている映画ですが、登場人物全員の表情が良いんです。悲劇が起こったときに表情が変わっていく様子がすごくて、4年ほど前に観た作品ですが自分の中にずっと残っています。

――ある種観る前に覚悟が要りそうな作品から、幅広くご覧になっているのですね。

 本当の映画好きの方に比べたら全然観ていないかと思いますが、特にこれが好き! これが苦手! というジャンルはなくて、割と何でも観ます。すっごく疲れているときはラブコメやホームドラマを観たり、そのときの自分のメンタルに合わせて観る作品を選びますね。自分自身も映画やエンターテインメントに救われています。

――永野さんは『繕い裁つ人』の際に、仕事として役者業をやっていく覚悟を決めたとお話しされていました。そこから7・8年経ち、現在に至るまでにご自身の挑戦心はどのように変遷してきたのでしょう。

 もともと私の母が習い事でも何でも「やりたいと思ったら何でもやってみな」という人で、小さい頃から興味がわくことは挑戦させてもらってきました。やってみて合わないものは「合わなかったな」でいいし、合ったものは今も続いています。そういった環境だったので、挑戦するのは自分の中では当たり前でした。「世の中知らないことの方が多い」と思って生活しているので、お芝居に関しても日常生活に関しても挑戦することだらけだなと思います。

――挑戦が特別なことじゃない、ということですね。素敵です。では逆に、気になっているけどまだ挑戦できていないフィールドはあるのでしょうか?

 パッと思いつくのは、スカイダイビングです。やりたいけどおじけづいちゃっているものはまだまだあります。あとは山登りやキャンプみたいに、やりたいけど準備や知識だったり、必要なものが伴ってくるものはまだ挑戦できていません。

――挑戦続きの人生でも、興味もやりたいことも尽きないのですね。

 そうですね。まだまだいっぱいあります!

永野芽郁(ながの・めい)

1999年9月24日生まれ。東京都出身。2009年に映画で女優デビュー。主な映画出演作に『俺物語』(15)、『ひるなかの流星』(17)、『君は月夜に光り輝く』(19)、『地獄の花園』(21)、『キネマの神様』(21)、『そしてバトンは渡された』(21)ほか。主なドラマ出演作にNHK連続テレビ小説「半分、青い。」(18)、「3年A組 今から皆さんは、人質です」(19)、「親バカ青春白書」(20)、「ハコヅメ~たたかう 交番女子」(21)、「ユニコーンに乗って」(22)ほか。映画『母性』(22)が11月23日に公開予定のほか、Netflixシリーズ「御手洗家、炎上する」が2023年配信予定。

『マイ・ブロークン・マリコ』

2022年9月30日(金)より全国ロードショー

出演:永野芽郁、奈緒、窪田正孝、尾美としのり、吉田羊
監督:タナダユキ
原作:平庫ワカ「マイ・ブロークン・マリコ」(KADOKAWA)
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2022映画『マイ・ブロークン・マリコ』製作委員会
https://happinet-phantom.com/mariko/

2022.09.30(金)
文=SYO
撮影=釜谷洋史