伊豆半島の雲見にある「雲見浅間神社」は、美しい自然と眺望を満喫できる有名な神社。

 本殿までや展望台までは少し険しい山道がありますが、ハイキング気分で登ってみれば、頂上では雄大な展望が望めます。

 関東圏から近いので、ドライブやアクティビティを楽しむのにぴったり。ちょっと足を延ばして訪れてほしい、絶景スポットをご紹介します。

全国的にも珍しい磐長姫命(いわながひめのみこと)を祀る神社

 駿河湾の海岸にそびえる烏帽子山の、山頂に鎮座する雲見浅間神社。標高164メートルとそれほど標高は高くありませんが、急峻な山には樹林帯が広がり、冒険心がくすぐられます。

 山頂の展望台までは約30分。ちょっとした運動にうってつけです。

 雲見浅間神社は、全国で約2,000あるといわれる浅間神社の一つ。浅間神社のほとんどが大山祇神(おおやまつみ)の娘である木花咲耶姫命(このはなさきやひめのみこと)を祀っていますが、雲見浅間神社は木花咲耶姫命の姉である磐長姫命(いわながひめのみこと)を祭神する珍しい神社です。

 磐長姫命は長寿の神であり、延命長寿のほか、悪縁の縁切り、良縁の縁結びなどのご利益があるとされています。

 記紀神話によると、天照大御神の天孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が木花咲耶姫に求婚した際、父である大山祇神が磐長姫命を一緒に送り出したけれど、瓊瓊杵尊は見た目の醜い磐長姫命を送り返してしまい、木花咲耶姫命だけを娶ったそうです。

 それを恥じた磐長姫命は、「私を妻に迎えていれば、生まれてくる子は岩のごとく長寿となったのに。妹のみを妻にしたため、生まれてくる子は桜の花のごとく短命になるだろう」と呪詛し、それが起因して人命が短くなったといわれています。

 富士山本宮浅間神社の主祭神が木花咲耶姫命のため、地元では烏帽子山で富士山を褒めると怪我をしたり、海に振り落とされるという言い伝えがあります。

2022.10.03(月)
文=佐藤由樹
写真=鈴木七絵