伊豆半島の南端に位置し、山や海に囲まれた南伊豆町。絶景スポットや名勝が点在する、大自然を満喫できるエリアだ。
その豊かな自然に包まれるように貸し別荘・Izu Cliff Houseはある。モダニズム建築の建物と周囲を囲む亜熱帯の植物が相まって、まるで南国のリゾートのような雰囲気が漂う。
東京から車で約3時間の場所にありながら、そこはまさに非日常の世界。都心では体験できない上質な時間を満喫できる。
南国のリゾートのような美しい空間の貸し別荘
Izu Cliff Houseは、富士箱根伊豆国立公園内に佇む一棟貸しの宿泊施設。太平洋に面した崖の上に立っており、自然保護区内に建物はこの一棟のみ。現在は国立公園内に建物を建設することはできず、近くには人工物は何もない。敷地1万5000平米の深い森の中に、自然と共存するかのようにひっそりと建っている。
周囲には温暖な南伊豆らしい亜熱帯の植物が生い茂る。広々としたテラスにはハンモックやテーブル、チェアーが設えられ、鳥のさえずりをききながら目の前に広がる豊かな緑や海、山の景色を眺めていると、海外旅行に来たかのような感覚に陥る。
Izu Cliff Houseは1日1組限定。14000平米の敷地内で、誰にも邪魔されずに過ごせるプライベート空間はなんとも贅沢。テラスで大好きな音楽を思い切り流しながら何もせずにのんびりしたり、1日中読書をしたりと休暇を存分に堪能すれば、日頃たまったストレスも一気にリセットできそう。
この建物は元々、1960年代に物理学者とフランス文学者のご夫婦が別荘として建てたもの。その後は長期間人が住んでいなかったために、建物が見えなくなるほどの植物で覆われ、廃墟のようになっていたそう。
しかし、廃墟となってもなお、凛とした佇まいだったそう。初めて建物を見た建築家の小崎嘉昭は「10年間、森の中に眠っていた」と表現。その美しさをそのまま、出来る限り元の姿に戻すようにオーナーである坂田 華が再生し、現在はIzu Cliff Houseとして活躍をしている。
「大自然の中の別荘」をコンセプトに、室内に無駄なものは置かず、ミニマルな暮らしをイメージした空間がすっきりとして気持ちいい。前面・側面はガラス張りで、大自然と陽の光を全身で感じることができる。
2022.09.03(土)
文=佐藤由樹
写真=鈴木七絵