#200 Hagachizaki
波勝崎(静岡県/伊豆半島)

自然を求めて都会から地方へ移住。あるいは、都会から生まれ育った地元へUターン。
こうした動きは前々からありましたが、ここ数年は“田舎暮らし”というよりも“サステナブルなライフスタイル”という言葉の方がしっくりくるような気がします。
伊豆半島の西伊豆や南伊豆は、東京から車で約3時間半ながら、濃厚な自然の息吹を感じます。
背後には緑深い山が迫り、入り組んだ海岸線の向こうには駿河湾。暖かい南伊豆では南国のバナナやアボカドも自生しているとか!
今回、たまたまネットで見つけた南伊豆のヴィラをきっかけに、南伊豆で心地よく暮らす方々と知り合うことができました。
そのヴィラは山間の中にぽつんと立つ、ガラス張りのモダニズム建築、Izu Cliff House。

大海原へ突き出したようなヴィラのデッキからは、眼下に岩がごつごつした宇留井島が浮かび、視界のかぎり、人工物が見えません。
そして気持ちいいくらい、まっすぐな水平線。どこか、ヨーロッパの島にいるようです。
オーナーの坂田華さんは移住というよりも、東京と南伊豆のデュアル生活。下田に海水浴にきた帰りに、何の気なしに物件を探して、このロケーションにひと目惚れ。
築50年足らずの建物は、ガラスは割れているし、蔦は絡まっているし、床は泥だらけ。まさに廃墟。それでも、その日のうちに購入を決定したそうです。

それから毎週、東京から通い、DIYで少しずつ手を加えていったそう。手に負えない部分は業者に依頼し、結局、改装費用は購入額の何倍もの金額に。けれども、自然とひとつになれる、理想のヴィラが完成しました。
2020.07.18(土)
文=古関千恵子
撮影=Michika Mochizuki
モデル=Mika Furuya