#203 Tago
田子(西伊豆/静岡県)
![「日本の夕陽百選」に選ばれた大田子海岸の夕陽。“メガネッチョ”と呼ばれる岩は、ゴジラに似ていることから“イズら”の愛称も。また、写真を横向きにすると、ムーミンのシルエットに……。©西伊豆町観光協会](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/6/1/-/img_613f07d881977aa0907009ab439e269b94030.jpg)
かつて、伊豆半島は本州から遠く離れた、海底の火山だったとは!
たとえばゴンドワナ大陸の分裂のような、地球規模のビッグイベントはどこか絵空事で、実感のないできごと。それが伊豆半島となると、俄然、身近で驚きも倍増します。伊豆半島のなかった本州なんて、ちょっと想像ができません。
![干潮時に道が浮かび上がるトンボロ現象が起きる三四郎島。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/7/-/img_770963514f85813aa798e2b078946b7f79505.jpg)
伊豆半島のもととなった海底火山群は、約2,000万年前に現在の硫黄島付近の緯度にあった、フィリピン海プレート上に誕生しました。
それからプレートは少しずつ北西へ移動し、100万年ほど前に本州と衝突。プレート上の火山島や海底火山は、本州と合体しました。
![海底に堆積した地層が露出した枯野公園。©西伊豆町観光協会](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/3/-/img_13b4f58def0ac5de5ea37dc8031001e2305704.jpg)
合体した際、海の底に堆積していた火山灰や軽石、噴火によって生まれた水底土石流の地層が隆起して、地表へ。
その後、波風に浸食され、西伊豆で見られる奇岩や断崖、海食洞、海底だった頃の地層をあらわにした断崖などが形作られました。
![海食洞の天井が落ちた、“天窓洞”と呼ばれる洞窟。堂ヶ島マリンの遊覧船には、ジオサイト認定ガイドが案内するコースも。©西伊豆町観光協会](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/4/-/img_842b718a1fc9dd3d2c7a37147d9950d3189727.jpg)
そんな地質学においてユニークな出自の伊豆半島は、ユネスコ世界ジオパークに認定されています。ジオパークとはジオ(大地)+パーク(公園)を組み合わせた造語で、地球を学び、楽しむためのユネスコによるプロジェクトです。
ちなみに、フィリピン海プレートが本州と合体した際の衝撃はすさまじく、そのはずみで隆起してできたのが、丹沢山地や赤石山脈(南アルプス)!
伊豆半島は本州で唯一、フィリピン海プレートにのったエリアで、今も本州がのったユーラシアプレートを押しながら、下へと沈み込んでいるのだとか。そのため、赤石山脈は毎年4ミリも隆起しているそうです。
2020.08.29(土)
文・撮影=古関千恵子