#203 Tago
田子(西伊豆/静岡県)
かつて、伊豆半島は本州から遠く離れた、海底の火山だったとは!
たとえばゴンドワナ大陸の分裂のような、地球規模のビッグイベントはどこか絵空事で、実感のないできごと。それが伊豆半島となると、俄然、身近で驚きも倍増します。伊豆半島のなかった本州なんて、ちょっと想像ができません。
伊豆半島のもととなった海底火山群は、約2,000万年前に現在の硫黄島付近の緯度にあった、フィリピン海プレート上に誕生しました。
それからプレートは少しずつ北西へ移動し、100万年ほど前に本州と衝突。プレート上の火山島や海底火山は、本州と合体しました。
合体した際、海の底に堆積していた火山灰や軽石、噴火によって生まれた水底土石流の地層が隆起して、地表へ。
その後、波風に浸食され、西伊豆で見られる奇岩や断崖、海食洞、海底だった頃の地層をあらわにした断崖などが形作られました。
そんな地質学においてユニークな出自の伊豆半島は、ユネスコ世界ジオパークに認定されています。ジオパークとはジオ(大地)+パーク(公園)を組み合わせた造語で、地球を学び、楽しむためのユネスコによるプロジェクトです。
ちなみに、フィリピン海プレートが本州と合体した際の衝撃はすさまじく、そのはずみで隆起してできたのが、丹沢山地や赤石山脈(南アルプス)!
伊豆半島は本州で唯一、フィリピン海プレートにのったエリアで、今も本州がのったユーラシアプレートを押しながら、下へと沈み込んでいるのだとか。そのため、赤石山脈は毎年4ミリも隆起しているそうです。
2020.08.29(土)
文・撮影=古関千恵子