総務省のルール作りで引き金が引かれたAppleの3つの「対日本戦略」

 かつて、日本はスマートフォンの販売に対して、多額の割引が適用されていたので、誰もが最新機種を毎年のように乗り換えていた。 

 しかし、総務省により「完全分離」という、スマートフォンの販売に割引を提供するのに上限額を設け、端末販売と通信料金を分離させたことで、新製品への多額の割引ができなくなってしまった。

 そこで、アップルが世界で得意としてきた「新製品で話題を振りまきつつ、型落ち機種で販売台数を確保する」というやり方を日本でも採用しつつあるのだ。

 アップルでは、iPhoneの製品ラインナップを主に3つのカテゴリーに分けて展開している。

 ひとつはiPhone 14のような新製品で、アップル信者を虜にするカテゴリーだ。

 もうひとつがiPhone 12やiPhone 13といった型落ち機種で価格を抑えることで販売台数を稼ぐカテゴリー。

 最後がiPhone SEとして、さらに古い機種をベースとして、価格を徹底的に抑えることで、初めてスマートフォンにデビューする子どもやシニアなどが、ケータイからの乗り換えをしやすいiPhoneという位置づけだ。

 初心者向けiPhone SEをまず買ってもらい、iPhoneの世界に飛び込んでもらい、次には型落ちに乗り換えてもらう。最終的には最新のハイエンド機種に代えてもらうことで、ロイヤルカスタマーになってもらうというわけだ。

埋まる外堀…Appleの次なる変革の時

 今回、iPhone 14シリーズが発表、発売された際、SNS上では「ガッカリした」という声も聞かれた。

 iPhone 14シリーズの端子が「Lightning」という従来の形状から変わっていなかったからだ。世間では「USB-Cになって欲しい」という声が多い。USB-Cとは、Androidスマートフォンやノートパソコンで採用が増えている端子だ。

 わざわざLightningケーブルを持ち歩きたくない人にとっては、iPhoneがUSB-Cになれば持ち歩く充電ケーブルが1本で済むため、「iPhoneもUSB-Cに!」という声も大きいのだ。

2022.09.27(火)
文=石川 温