だから今後、私と同じような元アイドル・元タレントのセカンドキャリアの選択肢を増やせるように、「パソコンすら上手く扱えなかった元アイドルでも、芸能界以外の場所で活躍できる」というのを身をもって証明できればと思っています。
――ちなみに、芸能界での経験は今の仕事に活かせているのでしょうか。
芸能界で10年間頑張ってきたから“今の私”がいる
高野 ゆい酒店には私がセレクトした銘柄を置いているんですけど、取引したい酒蔵さんには私が直接伺って、お話をさせてもらっています。これは世間一般でいう“商談”だと思うのですが、最初からあまり緊張せずにできたんですよね。きっとアイドルやタレントをしていた時に、人前で話すスキルを自然と身につけていたからだと思います。
あとは、芸能活動をしていなかったら「日本酒」に出合えなかったかもしれないし、もし出合えていたとしても、自分のお店を開くなんて大胆な決断はできなかったかも。今の私があるのは、約10年間悩みながらも芸能界で頑張ってきたからなんです。
カフェに行くような、気軽に立ち寄れる場所にしたい
――2022年7月16日には、ついに「ゆい酒店」の実店舗がオープンしますね。
高野 オープンしてしばらくは、私も店頭に立つ予定です。そのために、知り合いの酒屋さんで接客の修行もさせていただきました。
お店では、先ほどお話ししたオリジナル日本酒「あべとゆいと」のほかに、私と同世代の蔵元さんのお酒もメインで取り扱う予定です。実は今、日本酒業界で世代交代が起きているんですよ。若い造り手さんが増えてきていて、中には私より年下の蔵元さんもいます。
一昔前までは、日本酒に対して「辛い」「呑みづらい」という印象があったと思うのですが、今は若い人たちにも気軽に楽しんでもらえるような銘柄が増えているんですよ。
――どのようなお店にしていきたいですか?
高野 「ゆい酒店」を通じて、同世代の人たちと一緒に日本酒業界を盛り上げていけると嬉しいですね。そのためにも、取り扱う銘柄やお店の雰囲気作りにはこだわって、若い女性でもカフェに行くような気持ちで気軽に立ち寄れる場所にしていきたいと思います。
2022.08.01(月)
文=仲 奈々