――それでも仕事は決まっているから穴はあけられない。

優木 いくら寝不足でも、モデルの撮影があればビシッと決めなくちゃいけない。けど、産後の体型が戻り切っていなくて、写真を見てもちょっと違うなって。自分でもそれがわかるし、周りの反応からも「あ、まおみちゃん、まだ産後太り解消できてないんだ」という空気を感じてしまう。それがすごくプレッシャーでした。

 元の体に戻そうと筋トレや食事制限をしてみたんですが、何をやっても痩せない。久しぶりにバラエティー番組に出ても、寝不足で頭が回らないから会話の球を瞬時に返せない……。前の自分に戻りたいんだけど、全然戻れなくて、過去の自分とのギャップに苦しみました。

――つらいですね。

優木 夫と私はとても穏やかな関係が築けていて、ほとんど喧嘩もしないのですが、2回だけ大きな言い合いをしたことがあります。1回目は結婚式の前に、マリッジブルーになった私が準備でイライラしすぎて喧嘩になって(笑)。2回目が、産後のこの時期でした。

 

美容室にすら行けない日々に夫は飲み会

優木 私は美容室にすら行けていないのに、夫は毎日仕事に行って、たまに飲み会に行ってと普段通りに過ごしている。それに対して私がキレてしまって。話し合いを重ねるうちに夫も歩み寄って、家事や育児を手伝ってくれるようになりました。

 でも、当時の記憶を振り返って思い出すのは、どんよりとした曇り空の下、小さな洗濯物を洗って干している自分の姿。出産後は心の闇が一番深かったかも。

仕事と育児に追われ、本当はギリギリボロボロ

――産後の悩みは周囲に話しにくいものでもありますよね。

優木 そうなんです。いろんな方から「お仕事と育児の両立をされてて偉いですね」とか「すごいですね」って言われるんですが、実際は全然できてないんです。「本当はギリギリボロボロなんです」って言いたいけれど、言えない。

――2人目のお子さんを出産したのは36歳の時ですよね。1人目と比べていかがでしたか?

2022.07.14(木)
文=「文春オンライン」特集班
撮影=平松市聖