優木 それが妊娠中に切迫早産と診断され、3週間入院することになってしまったんです。入院中は育児から解放されましたが、絶対安静だったため体力、筋力がぐっと落ちてしまって。その状態で2人の子供の育児をするのはハードでした。体の不調が心にも影響して、生きるのがつらいとすら思ったこともあって。

 そんな時に偶然、近所のピラティス教室の前を通りかかり、救いを求めるように門を叩きました。ピラティスという言葉や、筋肉がない人でもできるエクササイズということは知っていたので、試してみたいと思って。

――ピラティスを始めてどんな変化がありましたか?

優木 ピラティスには“健全な心は健全な体に宿る”という精神があるのですが、それを実感しました。産後、自分を犠牲にして子育てする中で、邪な私……“邪おみ”が出てくることがあって。私は身を粉にして子供に尽くしているのにとか、あの人は自由な時間があっていいねとか、子供や周りの輝いているお母さんたちに対する妬みの感情が溢れてしまうことがあったんです。

――でもピラティスで体を整えると“邪”が消えていった。

優木 邪の感情はSOSのサインだと思うんです。普段は気にならないことでも、疲れていたらイライラしてしまいますよね。そういう時の自分は通常の精神状態じゃないんだから、救ってあげたらいいんだって気づいたんです。楽したり、やらなきゃいけないことをちょっと後回しにしてダラダラしたり……。心を空っぽにしてじっくりと自分と向き合う時間を作ったら、邪が消えていって。

優木 自己犠牲は尊いという風潮はまだ残っているし、母親はこうあるべきだとか考えてしまいがちだけど、自分のご機嫌を取ることは、周りで過ごす人のためにもなる。呼吸を整えたり、お風呂の中でマッサージをしたりして、体をリセットする時間を作るだけでも、ふっと心が軽くなるんです。

 

SNSで誰かに見せようとするとストレスに

――普段の生活で気を付けていることはありますか?

2022.07.14(木)
文=「文春オンライン」特集班
撮影=平松市聖