アイデアあふれる快適シートは、ニーズに合わせて変幻自在
カタールは、秋田県と同じくらいの面積しかない小さな国ながら、石油と天然ガスという天然資源に恵まれた裕福な国だ。カタール航空は、世界屈指のラグジュアリーなファーストクラスや空港ラウンジをもつ航空会社だ。
彼らが2017年に就航させたビジネスクラス「Qスイート(Qsuite)」は、当時の航空業界をざわつかせた。そして、2021年のスカイトラックス社のワールド・エアライン・アワードでは、世界一のビジネスクラスに選ばれた。
今回の取材では、カタールのドーハを経由してモルディブへというルート。そのうち、成田―ドーハ間が「Qスイート」だった。往路は11時間55分、復路は10時間40分。その快適さは、このようなロングフライトに乗ってこそ実感できる。
42席の「Qスイート」は、1−2−1という並び。進行方向を向いているシートと、後を向いているシートが互い違いに配置されている。効率よく占有スペースを広くするためだ。逆向きに座っている搭乗客とは目が合わないように設計されている。
ビジネスクラスに初めてドアを付けたのも「Qスイート」だった。各社のファーストクラスで導入が進められていた個室仕様をいち早く取り入れたのだ。ドアを閉めたときの安心感は格別だ。
そして、「Qスイート」の最大の特徴は、前後のシートの間のパーテーションが可働式になっていること。これにより、前後4席がボックスシートになるのだ。家族やグループで食事するときや、ビジネストリップで打ち合わせをするときなど、それまでの機内では考えられなかった使い方ができるようになった。
ビジネスクラスでは珍しい、パジャマのサービスもカタール航空のビジネスクラスの特徴のひとつ。長距離路線のみだが、イギリスの高級ブランド「ザ・ホワイト・カンパニー」の製品で、肌触りのよさが睡眠の質を上げてくれる。
2022.07.14(木)
文・撮影=たかせ藍沙