たしかにそうなのだが、一般人なら「いってらっしゃい」と言われたと聞けば仲睦まじくていいじゃないかと思うはずで、小室さんもそんなつもりで軽く言ったのかもしれないと思ったが、皇室記者ならではの勘だろう。
それはともかく、秋篠宮さまはそのことを耳にして「困った、困った」と言っていたというから、すでにこの時点で小室さんへの不信感が芽生えたのかもしれない。
「ちょっとおかしな雰囲気がありましたね」
「婚約内定会見の夜に、秋篠宮一家と小室母子でお食事会をしていますが、佳子さまと悠仁さまは出席されませんでした。おそらく子どもに聞かせられないシビアな話が出たのではないでしょうか。そのあたりからちょっとおかしな雰囲気がありましたね」
秋篠宮さまに問い詰められたのではないか、という。
記者が、母子の住んでいたマンションを訪ねると、持ち家ではあったものの、あまりにも貧相で、およそ内親王の婚約者の実家とは思えなかったそうだ。「小室さんを東京・国立市の国立音楽大学付属小学校に通わせるのにアパートを借りたり、六年間で1000万円以上の学費がかかるというインターナショナルスクールに通わせたり、この一家はどうなってんだ」というわけで、周辺を聞きこむと母親は近所のお菓子屋さんに勤務しているとわかり、内情を調べたら「金銭トラブル」があったという。
過去の皇族の結婚といえば、戦前の余韻がまだ色濃く残っていた昭和20年代では、内親王が嫁ぐ相手の出自は旧侯爵家であったり、旧藩主の伯爵家であったりと、旧華族の家系に連なる人物が中心だった。それが、正田美智子さんの登場で「平民」出身という言葉が頻繁に使われるようになったのだが、当時の写真を見ればわかるように、居間には煉瓦造りのマントルピースがあって、壁には油絵がかかっているような豪邸で育ったお嬢さんである。「平民」といっても、大企業の令嬢であり、聖心女子大を首席で卒業したという、一般庶民からすれば雲の上のような人だったから、同じ民間人でも、いわゆる上流階級に属する人であった。
2022.06.10(金)
文=奥野修司