マンガ雑誌から広告欄が消えた

――近年、マンガ雑誌から1/4広告スペースがなくなっていることは、紙至上主義時代の終わりを感じさせます。先生の《たわごと》も『ぼく歌』5巻(2019年発売)を最後になくなりました。

 日渡先生は紙媒体でデビューし、40年間、一貫して紙で連載を続けてきました。作品発表の場が「紙」であることは、先生にとってどんな意味がありますか。

日渡 コレはねぇ……。いや、《たわごと》が書けないことよりも、広告スペースがなくなったときに時代を感じましたね……。雑誌の在り様が変わっていくのだなぁと。日ペンの美子ちゃん(ボールペン習字通信講座の広告マンガ)が懐かしい。

 《たわごと》がなくなった分、今はブログを開設しておりますので、『日渡ぷらす日記』でご検索いただけましたら幸いです。早紀の《早》の字は《十(ぷらす)》と《日》に分解できるので、もじって『ぷらす日記』としました。

 

――今年1月に東京タワーで『ぼく地球』イベントがあった際は、ブログの更新がすごかったですね。

日渡 はい。イベント期間中、毎日怒涛の更新をして燃え尽きたのはよい思い出……。

 今は、イベントのご来場者さまにお書きいただいた『交信ノート』へのご返信や近況などを、不定期にですが綴っております。

製作はデジタル化したけれど……

――現在、先生の作画はデジタルを取り入れていらっしゃいますか。

日渡 私自身の環境は、既にデジタル化しております。移行に2年余りの準備期間を要しました。

 今現在では、スタッフがまだ紙の原稿上でないと背景を描けないと申しますので、それを取り込んでの作業ですが、私個人のみの作業でいえばオールデジタルです。ネームまでデジタルで描いてます。味をしめました(笑)。

――そうなんですね。PCやデジタル機器にはお詳しかったんですか?

日渡 もともとオーディオとかいじるのが好きだったので、その延長線上にPCがあったみたいな印象です。

――2020年、萩尾望都先生はiPad上でフルデジタル製作し、縦スクロールで読むデジタルコミックを発表されました。日渡先生も今後、デジタル環境での作品発表をお考えですか。

2022.06.03(金)
文=前島環夏