“海のゆりかご”、アマモ復活大作戦!

 今回、弁天島遊船組合長の間瀬泰成さんと、浜名漁協協同組合の徳増隆二さんのお二人に浜名湖周辺を案内してもらいました。

 かつて「埋め立てる前は荒居町駅まで海があった」、「昔は湿地帯で蓮池や水田があった」「この堰を境に海でアサリ、川でシジミがとれた」など、浜名湖周辺は、近年においても時代と共に移り変わってきたようです。

 浜名湖は淡水と海水が混ざり合う汽水湖ゆえ、両方の生物が暮らし、種類が豊富なのも特徴。けれど、由々しき問題が勃発。潮干狩りが人気だった浜名湖も、5年ほど前からアサリが姿を消してしまったのです。これは熊本や千葉など、北海道以外の日本各地で起きている事象のようです。

 そこで、間瀬さんはNPO法人「浜名湖フォーラム」を設立し、アサリ復活大作戦を敢行。けれど、なかなかうまくいきません。

 考えてみれば、アサリや海の生物が暮らす環境を取り戻してあげることが大切。そこで“海のゆりかご”と呼ばれる、アマモに着目。アマモも、かつては浜名湖にびっしりと繁茂し、漁師さんを悩ませていたけれど、5年ほど前に消えてしまったとか。現在はアマモ復活大作戦に取り組んでいます。

 アマモは、水棲生物の住む場所であり、食事の場所であり、産卵の場所。そして、ある程度成長した生物たちは、枯れたアマモに隠れて外海へ運んでもらうことも。

 さらに、アマモは光合成により、二酸化炭素を吸収して有機炭素(ブルーカーボン)を海中に貯めます。このブルーカーボンが地球温暖化を防ぐことにもつながると、注目を集めています。これはSDGsの目標7と13にあたる、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる)の役目を果たすのでは、と考えられています。

2022.05.07(土)
文・撮影=古関千恵子