#247 Benten Jima
弁天島(浜名湖/静岡県)

 真っ赤な巨大鳥居が立つ弁天島の画像が偶然目に留まり、「実物を見てみたいな」と、その島が浮かぶ浜名湖へ。

 結局、この大鳥居は観光用だったのですが、訪れてみて、浜名湖の面白さに気づくことに。やっぱり、行ってみないと、わからないものです。

 浜名湖は静岡県の西、浜松市と湖西市にまたがる日本で10番目に大きな湖。弁天島はその南部に位置しています。

 浜名湖は湖でありながら、水はしょっぱい。海とつながる汽水湖になったのは、1498年の明応地震により浜名川が決壊、遠州灘(太平洋)とつながったから。

 東海道五十三次では、海とつながった部分の「今切口」で浜名湖を船で渡らねばならず、その船渡場は「今切の渡し」と呼ばれていました。湖畔にある新居の関は、東海道の中でも重要視され、特に目を光らせていたのが「入り鉄砲に出女」。江戸幕府への脅威となる鉄砲が入ること、江戸から諸大名の妻たちが逃げ出すことを防いでいたそうです。

 浜名湖は海の影響も受けて、干潮満潮があるのも特徴。潮流の向きによっては大波になることもあり、熟練の船頭さんでも舟渡しが難儀な時も。そのため遠州灘からの波を防ぐために杭をいくつも打ち、それによって潮流が変わって弁天島が形成された、との説もあります。

 そもそも、浜名湖が誕生して以来、明応地震の前にも、海面の上昇や沈下で、海になったり、陸になったりを繰り返し、10万年単位で見ていかなくてはならない、ともいいます。

2022.05.07(土)
文・撮影=古関千恵子