生理にまつわるお悩みに、婦人科専門医の福山千代子先生が回答する「CREA保健室」。
第4回は「経血の液状や色」にまつわるお話です。ドロッとしていたり、赤黒い経血でも大丈夫? 年齢とともに経血は変化するの? など、ソボクな疑問にお答え頂きました。
年齢とともに経血はドロドロしてくるもの?
年齢を重ねると「ドロドロ血に注意」という話しを、耳にしたことはないだろうか? これは、血液中の糖質や脂質が増えると血液がドロッとして、生活習慣病の原因になるというお話。では、生理の経血にも「年齢」や「生活習慣」による影響はあるのだろうか…?
「経血は、血管を流れる血液とは性質が異なります。子宮内部を覆っていた“子宮内膜”が、月に一度剥がれ落ち、膣を通して排出されるものです。基本的に年齢による変化は見られず、20代~30代の方でも子宮内膜症があるとドロッと塊で出ることがありますし、40代以降でも子宮の状態が健康であれば、平均的な経血の方もいます」
経血は内膜組織である以上、「ある程度粘度がある」状態が普通だという。ただし、レバーのような血の塊が落ちてくる場合は、少々注意が必要。
「第1回でもお話しした通り、爪の先くらいの血の塊が出てくることはよくあります。一方で、違和感を覚えるほどの塊で出てくる場合、何らかの要因で子宮内膜が肥大している可能性があるんです。婦人科で一度検査をして頂けると安心ですね。それ以外の常識的な範囲であれば、“サラサラだから良い”、“ドロッとしているからダメ”ということはありません」
年齢とともに変わりやすいのは「経血量」と「生理周期」
サラサラか、ドロドロかよりも、年代とともに変化を感じやすいのは「経血量」のほうだ。40代を迎えると、月によっては排卵したり、しなかったりすることがあるそう。きちんと排卵していると、妊娠準備のために子宮内膜は生理前に厚みを増していくけれど、排卵がない場合厚くなる前に剥がれ落ちてしまうため、結果として経血量も少なくなる。
「これは“無排卵性の出血”というだけで、生理であることには変わりはなく、心配する必要はありません。40代以降、生理痛も以前より軽くなって“生理自体が楽になった”とおっしゃる方も多いですね。個人差はありますが、閉経前になると一旦生理のサイクルが短くなります。28日周期だったものが、24日になり、22日になり、“あれ、こないだ生理が来たばかりだったのに”とおっしゃる方が増える印象です」
生理周期が一旦駆け足になった後に、少しずつ周期に間があいて、45日になり、2ヶ月になり、半年になり、やがて閉経を迎えるというケースが多いという。
「無排卵月経は年齢に比例して増加しますが、若い方でもストレスを感じると発生することがあります。生理であることに変わりはないのですが、将来妊娠を希望しているなら、治療が必要な場合も。いつもより生理が軽くなったように感じ、さらに妊娠を希望しているなら、婦人科にご相談頂けたらと思います」
2022.04.22(金)
文=宇野ナミコ