素顔の自分で、愛されたい――。WEBメディア「cakes」で累計660万PVを超え、ハライチ・岩井勇気さんも推薦する大人気連載『恋愛マトリョシカガール』。ダメ恋に傷付いても、何度でも立ち上がる女子たちの恋愛を生々しく描き出し、多くの共感を呼んでいます。作者の山本白湯さんに、報われない関係や“破滅エンド”を描く理由、“自由競争の面がある”と語るご自身の恋愛経験についてお聞きしました。(全2回の1回目/続きを読む

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『恋マト』を描くきっかけとなった「やさぐれ女・美央」

――『恋愛マトリョシカガール』(以下、『恋マト』)は、オムニバス形式でさまざまな恋愛が描かれていますが、どの恋愛もちょっと不穏な空気を漂わせています。これは、恋愛はいいことばかりではないという「警告」なのでしょうか。

山本白湯(以下、山本) 若い頃は恋愛で嫌な思いをしたことのほうが多かったので、そういう体験を漫画にできればと思いました。

 相手に嫌なことをされてもそれを嫌だと言い返せず、「あれ?」と思うことがあっても黙って受け入れたり……。そういう嫌な思い出や、本当は言いたかったのに言えなかったことなどが形になったのが、『恋マト』を描くきっかけとなった「やさぐれ女 美央編」の主人公・美央でした。

――恋愛は自分の努力だけでうまくいくものではないので、実は「好きな人に好かれる」のって、すごく難しい部分もありますよね。

山本 そうですね。恋愛って、自分が頑張ったからといって必ずしも報われるわけではないですし、幸せになれるわけでもないと私は思っているので、私のマンガでは 「頑張ったから必ず幸せになる」というエピソードが少ないです。でも、悲しく終わらないエンドに寄せていくようには心がけています。

「破滅エンド」がしっくりくる

――「悲しく終わらないエンド」というのは、ハッピーエンドとはまた違うのですか?

山本 何をもって「ハッピーエンド」とするかというところもあるので、そこは一概には言えないです。それに、マンガでハッピーエンドにすることは簡単ですけど、実際の人生では死ぬまでハッピーエンドかどうかというのはわからないじゃないですか。死ぬ直前に大どんでん返しがあるかもしれないし。

2022.04.06(水)
文=相澤 洋美