なので、私としては「破滅エンド」の方が現実らしいというか、しっくりきて、ついそちらに寄せてしまうので、そうならないように気をつけています。多分「破滅エンド」が好きなんでしょうね(笑)。
――いわゆる「ハッピーエンド」よりも、「破滅エンド」の方が好きというのは、恋愛で嫌な思いをされてきたことが影響していますか?
山本 単純に、自分が「破滅エンド」が好きなんだと思います。王道系の恋愛モノを普段ほとんど観ないので、「正統派のラブロマンスを描いて」と言われても描けないと思います。アクション映画など、刺激の強い内容を好んで見ています。もしかしたら、こういうところが自分の作風に影響しているかもしれません。
出し抜かれる恋愛
――作中に「クズ男」がたくさん登場しますが、これも「刺激」の一種なのでしょうか。
山本 クズ男、そんなにいますか!? 誰のことだろう、「ダメ恋女 理恵編」に出てくる「あやと」かな……(笑)。正直、私自身はあやとをそんなにクズ男とは思って描いていませんでした。恋愛は自由競争という一面もありますので……。まあこれは、私自身がこれまでずっと出し抜かれ続けてきたからそう思ってしまうのかもしれませんが……。
――出し抜かれる、ですか。あやとを出し抜くことができる女性ってどんな女性なのか、気になります。
山本 え~、それは私も気になります(笑)。どんな女性があやとを出し抜くことができるんだろう。あやとよりも一枚も二枚も上手な女性ですよね、きっと。
あと、これは「出し抜かれる」とは少し違いますが、私は相手の好みにすべてを合わせすぎて迷走したこともあったので、あやとはそういう女性は選ばないかもしれません。自分自身のそういう弱さも、恋愛自由競争に勝てない敗因だったなと今にして思います。
『恋マト』は「恋愛マンガ」というより「ヒューマンドラマ」
――では『恋マト』には、山本さんの恋愛談が教訓として入っているのでしょうか。
2022.04.06(水)
文=相澤 洋美