RENEWが目指すのは、持続可能な地域づくり

 舞台は、福井県の鯖江市、越前市、越前町。

 ものづくりで知られる同エリアにある7つの産地(越前漆器、越前和紙、越前打刃物、越前箪笥、越前焼、眼鏡、繊維)の工房や企業が開放され、普段は入ることのできない工房内を見学できたり、ものづくりを体験できるイベント「RENEW」が、2022年3月11日(金)から13日(日)まで開催されます。参加するのは過去最高となる89社。

 RENEWが目指すのは、持続可能な地域づくりです。2015年から始まり今回で7回目となりますが、始まったきっかけは日本の伝統的工芸品作りに従事する、現地の職人たちの自信や誇りを取り戻すことでした。

開始から7年で、職人の意識が変化

 「イベント開催前は、売り上げの低下や後継者が見つかりにくいなどの課題を抱え、職人たちは自分たちの仕事に対してネガティブな思いが強く、明るい未来を思い描くことが難しい状況でした。でも、職人たちが作っている伝統的工芸品自体は歴史もあり、品質も高いため、なんとかしてものづくりの町を元気にしたいという思いから、RENEWは始まったんです」そう話すのは、RENEW事務局の山田美玖さん。

 イベント開始から7年が経った今、職人たちの意識に確実に変化が生まれてきたと山田さんは話します。「回を重ねるうちに、職人たちはもしかしたら自分たちはすごいものを作ったり、すごいことをやっているんじゃないかと感じ始め、しだいに誇りを取り戻し、新しいことにも取り組める気づきが生まれています」

 その成果は具体的な数字にも表れ、この7年間で工房を兼ねたショップが30店舗増加。ほかの地域から移住し、職人の世界へ就業した人は10名以上となりました。

工房の見学やワークショップでものづくりのおもしろさを体感

 RENEWのメインコンテンツとなるのは、ものづくり企業66社が用意している工房見学やワークショップです。工房見学では、普段手にしている身近な工芸品の制作工程を間近で見ることができたり、どんな人たちがどんな思いで作っているのかを知ることができます。

 また、見るだけではなく、ワークショップに参加することで、一見簡単そうに見える作業が実際はどれだけ難しいことなのか、職人の技術のスゴさを体感できる絶好の機会にもなっています。

「普段なにげなく使っているモノが、どんな場所でどんな人たちがどんな想いで作っているのかを体感できます。普段はなかなか入れない工房に入れますし、職人たちに質問すれば、いろいろと教えてもらえますので、ぜひ積極的に会話を楽しんでもらえたらと思います」(山田さん)

 では、数多くの参加工房や企業の中から、特に気になるワークショップを紹介します。

2022.03.10(木)
文=石川博也