料理を「作らない・作れない」ことに罪悪感を持っている人に贈る、フードライター・白央篤司さんの金言&レシピ。

 どんなものであれ、作ろうと思ったそのこと自体が尊い。今晩はひと品、作ってみませんか?


お鍋を楽しむうえでも身につけたい「そぎ切り」

 暖かくなってきましたね!

 春が近づいて、寒がりの私としてはなんとも嬉しい。とはいえ、あったかい料理はまだまだ活躍してくれる季節。

 今回は鍋ものを紹介……ではなく、料理法のご提案というか、こんなことを覚えると料理の幅はグッと広がりますよ、というお話です。

 そぎ切り、って聞いたことありませんか?

 食材に対して、包丁を寝かせるようにして刃を入れて切ること。

 切り口が大きく、広くなるわけです。

 その分、火の通りも早くなり、食べやすくなります。味のなじみもよくなりますよ。

 そぎ切り、お鍋を楽しむ上で身につけておくと、とても便利なんです。

 値段的にもカロリー的にもうれしい食材、鶏むね肉で練習してみませんか?

 まず皮を取って、半分に切ります。

 包丁の真ん中あたりを寝かせるように、ななめに肉にあてまして、

 手を添えて、手前に引きつつ切っていきます。

 ゆっくりと、手前に引いていきます。刃先のほうまで使う感じで。

 断面はこんな感じ。

 最初は「食材に対して斜めに包丁を入れる」というの、どうにも違和感だと思うんです。私がそうでした。

 なんだか勝手がわからず、うまく包丁が引けなくて。

 そりゃそうですよね、ずっと食材に対して直角に包丁を入れたことしかなかったわけですから。

 要領が得られず不安だとは思いますが、まずは何度か繰り返してみてください。だんだんと慣れてきますから!

 最近、鶏むね肉のそぎ切りを鍋の具にするの、ハマっているんです。

 経済的かつ、たっぷり食べても罪悪感の薄いのがまずうれしい。

 冬にかなり太ってしまったのもあって(汗)……。

 コクと旨みたっぷりのモモ肉もいいけど、あっさりしたむね肉はまた別のおいしさ。脂の強いものは苦手になってきちゃって、という人にもおすすめしたいです。

 鶏肉、火はしっかり通してくださいね。鍋に入れるときは自分の箸で扱わず、専用の箸を使いましょう。

2022.03.11(金)
文・撮影=白央篤司