恋愛なんかしなくてもいいんですけど、してもいいですよね。押しつけはしませんけど、いいものだと思いますよ、恋愛って。
「いい男がいないから恋愛できない」と思っている人は、「目の前にいる人のいいところ」を探してみたらいい。幸せって、そういう人に寄ってくるものなんじゃないかと思います。
スーパーボールをモチーフに使った理由
――『わたおぼ』では、子ども時代に遥がこうちゃんからもらったスーパーボールが幸せのカギを握っているように思います。スーパーボールをモチーフに使ったのは、何か特別な思い出などがあるのですか。
東村 スーパーボールって、私が子どもの頃お祭りの出店とかですごく人気があったんです。特に、大きくてキラキラのスーパーボールは宝物的存在で、みんなの憧れのアイテムでした。
キムタクが主演の『ロングバケーション』というドラマでも、すごく印象的に使われていましたよね。マンションの3階から落としたスーパーボールをキムタクがキャッチするというシーンは1996年当時、すごく話題になりましたが、いつか何かに使いたいなと思ってました。
スーパーボールって、温めるとよく跳ぶんですよ。何人もの手で温められたスーパーボールがどんなふうに「跳んで」いくか、最後まで関わってくる重要なアイテムなので、ぜひ楽しみにしていただけたらと思います。
初恋の記憶の甘酸っぱさは世界共通
――この作品は日韓同時連載中ですが、韓国でスーパーボールのとらえ方に違いがあったりしないのでしょうか。
東村 日本と同じように昔流行っていたし、なんなら今もリバイバルブームで流行っているみたいです。
初恋の概念も、お国柄みたいなのがあるのかなと最初思っていたのですが、連載が始まってみたら、初恋の記憶の甘酸っぱさって世界共通なんですよね。しかも男性からも女性からも多くの反響をいただいているので、「初恋には男女も国境も関係ない」とあらためて感じています。
2022.03.03(木)
取材、構成=相澤洋美
写真=松本輝一/文藝春秋
ヘアメイク=後藤るみ
スタイリスト=藤原わこ