オンラインゲームで運命の出会いが!
◆『現実もたまには嘘をつく』/にいち(@niichi021)
オンラインゲームで知り合った男女を描くにいちさん(@niichi021)の漫画『現実もたまには嘘をつく』。本作は単行本が2巻も刊行されているほか、日本最大級の同人誌即売会「コミックマーケット」でも、番外編が展開されるなど様々な媒体で楽しむことができます。
人見知りの少女・七海は過去のトラウマをきっかけに引きこもりになり、オンラインゲームに没頭して外の世界から隔絶した生活を送っていました。しかし、オンラインゲームで知り合った少年・薫との出会いによって、徐々に外出する機会などが増えていくようになります。七海が薫と少しずつ心を開いていく様子はとても微笑ましいですし、読んでいて優しい気持ちになれるはず。
そして、もうひとつ本作を語るうえで欠かせないのが薫の女装です。作中、薫は七海の家に行くことになるのですが、彼女の父親はかなりの親バカであり、娘から男を遠ざけたがる性格であったために、薫は女装して女の子のふりをすることになってしまいます。この薫の女装姿はファンからの人気が高く、ヒロインである七海よりもかわいいという声もちらほら。
女装という意外性がありつつも、きちんと王道のボーイミーツガールのストーリーも描かれているため、誰もが素直に楽しめる作品となっています。
純粋な小学生のやり取りにニヤニヤ
◆『事情を知らない転校生がグイグイくる』/川村 拓(@kawamurataku)
川村 拓さん(@kawamurataku)の漫画『事情を知らない転校生がグイグイくる』は、暗い性格の女の子・西村さんと天真爛漫な男の子・高田くんの交流を中心に描いた青春作品。
西村さんは、引っ込み思案でマイナス思考な性格から、“死神”というあだ名を付けられておりクラス内で煙たがられている存在。対して、高木くんは誰からも好かれる明るく素直な性格であり、一見すると西村さんとは相容れないような印象です。しかし、彼は厨二病(小学生ですが)を患っており、西村さんの“死神”というあだ名に強い憧れを抱くようになります。
高田くんは西村さんに素直な言葉をぶつけまくるのですが、純真無垢な性格も相まって「西村さんがいてくれないとすごくさびしい」、「一緒にいるだけで自然と笑顔になっちゃう」など、まるで愛の告白かのような言葉ばかり伝えてしまいます。そんな高田くんの行動には西村さんもたじたじ。彼らの初々しい交流を読み進めていけば、思わずみなさんも笑みを浮かべて応援したくなることでしょう。
ちなみに漫画雑誌『ガンガンJOKER』では描き下ろしシリーズが連載されており、Twitter連載版とはまた違ったお話が読めるのでこちらもおすすめです。
隣の席の宇宙人は可愛くてヤンデレ?
◆『隣の宇宙人がコワい』/阿東里枝(@tanimikitakane)
「ボクの隣の席は宇宙人だ」。そんな衝撃的な言葉から始まる阿東里枝さん(@tanimikitakane)の漫画『隣の宇宙人がコワい』。本作は、宇宙人が大好きな主人公・丸ノ内くんの隣に座る、本物の宇宙人・宇宙村マイが彼に猛アタックする様子を描いた学園ドタバタラブコメディです。
当初、宇宙村さんは頭から触手が生えた、いわゆる“テンプレ通りの宇宙人”の姿をしていました。が、丸ノ内くんが“宇宙人の姿が素敵”という意味で「ありのままの君でいい!!」と伝えてしまったことで、もともとの姿である人型のフォルムへと変化。その姿が美少女なのですが、これにより宇宙人のフォルムに惚れ込んでいた丸の内くんは、宇宙村さんへの興味が激減してしまいます。
ところが、彼の言葉を恋愛的に捉えた宇宙村さんは、丸の内くんを「ダーリン」と呼びベタ惚れ。「もう逃がしませんヨ」とヤンデレ的なセリフを放つほど熱を上げ、丸ノ内くんから恐れられています。その後のストーリーでは、宇宙人の“心を読む”“ビームを放つ”などの特殊能力を使いながら、丸ノ内くんの気を惹こうとするなど暴走。彼は常に頭を抱えることになっていきます……。
丸ノ内くんとしては災難でしょうが、作中に登場する同級生からすれば、美少女に言い寄られている羨ましい状況なのが笑いを誘います。ぶっ飛んだ設定ながら、展開は往年のドタバタラブコメを思わせる安心感に満ちている、非常に読みやすい良作です。
――Twitterに投稿される無数の漫画のなかには、今回紹介したような思わずグッと心を惹きつけられるプロットの作品がたくさん眠っています。SNS上での人気がきっかけで単行本化されることも少なくないため、こうしたTwitter漫画をチェックしておくのも面白い作品に出会う入り口になるかもしれませんね。
2022.02.03(木)
文=文月(A4studio)