後から映像をチェックするたびに、ああ、全然ダメだったなって落ち込むことも多かったですね。他のアーティストの方と番組でご一緒させていただいても、「やっぱりレベル違ったな」って。それは最初からずっと感じています。
――そういうときに、例えば「あの人には負けたくない!」と思ったりは?
大塚 その方がたぶん、この世界では生きていけますよね。でも私は「もうこれはかなわないな」としか思わないんです。今まで19年間やってこられたのも、たまたま運が良かったからで……。基本的に、人に見られるのがあまり好きじゃないというか、得意じゃないんです。
普段の大塚さんはどんな人?
――『さくらんぼ』をはじめ、楽曲の印象から、大塚さんに対して元気で明るく、どこか女性らしい、またはかわいらしいといったイメージを持っている方も多いと思います。そうしたイメージと比べて、普段の大塚さんはどんな方ですか?
大塚 そうですね……。どちらかというと、普段はそんなにブリブリしてないですね。人と会うと「曲のイメージと違った」って言われることも多いです。むしろ曲の中に私はいないんじゃないかっていうくらい(笑)。
――それは、具体的にはどう違ったと言われるんでしょうか?
大塚 たぶん女性らしさがないのかな。あえてそうやって振る舞うモードにしようと思わない限り、自分の中に女性らしさとか、かわいい感じってあんまりないですね。そもそも、女性らしさが何なのかちょっとよくわかってないんですけど(笑)。
――ご自身でも、曲の雰囲気と普段の自分にはギャップがあると感じますか?
大塚 きっと他のアーティストの方って、自分の内面や想いだったり、自分のシーンを曲に投影される方がほとんどだと思うんです。でも私の場合は、自分を出すというのではなくて、一つのフィクションとして、作品として世に出しているので、それが自分とイコールというのはまずないですね。自分で自分に楽曲提供してるみたいな感じなので。
2022.01.23(日)
文=松永 怜