俳優 須藤蓮さんが主演・初監督を務め、脚本家 渡辺あやさんとの共同企画で誕生した話題の映画『逆光』が、ついに東京公開を開始。通常、全国同時公開や東京の劇場から封切られるのが映画業界のセオリーですが、まず作品の舞台となる広島から公開をスタートさせたことで、映画界における新しい配給・興行の可能性を模索するインディーズ映画としても注目を集めています。

 今回は本作の監督・主演の須藤蓮さんがCREA WEBに初登場。映画の内容はもちろんのこと、それ以上に重要だったという「楽しい配給活動」について、たっぷりお話を伺いました。


男性同士の恋愛を描ける確信があった

――本作を観た時、とても純度が高い恋愛作品だと感じました。「青年同士の情愛」を描いくということは最初から決めていたのでしょうか。

 脚本の渡辺あやさんからは、構想として同性間の恋愛を描いた作品にしたいという話は最初から伝えられていました。その時から、これは自分にわからない物語ではないという確信はありました。僕自身、男子校に6年間通っていた時に同性に憧れたこともありますし、渡辺あやさんの筆の力を借りれば表現できるという予感が最初からありました。

――本作は渡辺あやさんとの共同企画ですよね。渡辺あやさんの脚本作品で主演だけでなく監督を務めるということで、難しさを感じることはなかったですか?

 すごく難しい脚本だとみなさんおっしゃったんですが、僕にはしっくりきました。なによりキャラクターが魅力的なので、そのキャラクターに想像を膨らませていったら、自ずと映画ができあがったというところが大きいです。

 渡辺あやさんの脚本の素晴らしいところは、わかりやすいテーマを前に置かないところ。本作も人物の関係性や置かれている背景などから、自然と観る人の頭の中にテーマが浮かび上がってくるようになっていると思います。

――晃と吉岡という男性2人の恋愛がメインではありますが、出てくる女性たちが「サブキャラ」扱いされていない、というところもすばらしかったです。4人の男女それぞれが美しいままで存在していて。

 同性愛を主軸にした作品の場合、主役とは異なる性別の描かれ方があまりに雑すぎると感じることがこれまで多くありました。たとえば『君の名前で僕を呼んで』は本当に大好きな映画ですが、ティモシー・シャラメの魅力はすごく出ているのに、女性の役者が魅力的に描かれているとは思えない。もちろん男性同士の恋愛を描く上では、恋愛対象とならない異性をあえて魅力的に映さないことでテーマは強調できるのだけど、それは世界を限定しているともいえる。

 僕は男性の魅力も女性の魅力も両方感じられるので、その人自身が持っている魅力をそのままの形で表現したかった。そこで晃と吉岡の恋愛をメインストーリーにしながら、どうしたら文江とみーこも魅力的に映るかということを意識しました。本作は4人の物語ですから。

2021.12.25(土)
文=綿貫大介
スタイリング=高橋達之真
撮影=今井知佑