加藤 一緒に住んでたこともあって、夫人の好きな食べ物を知ってたので、フルーツを出せば大丈夫だろうと思っていました。夫人はとにかくフルーツが大好きなんです。それに夫人自身も気を遣われるのが嫌なので、「普通でいい」って言ってましたね。

『コンフィデンスマンJP』を一緒に見に行ったのがいい思い出

――一緒に住んでいて印象に残っている思い出は。

加藤 夫人は映画が大好きなので、一緒に見に行ったのはいい思い出ですね。『コンフィデンスマンJP』に夫人が出演していたので、渋谷の映画館に二人で見に行きました。コーラを飲んで、ポップコーンを食べながら、「あなたよかったわよね」って大きな声で言うんですけど、声ですぐにバレるんです。「デヴィ夫人じゃね?」ってざわざわし始める(笑)。夫人はそれでも御構い無しのようでしたけど。

――デヴィ夫人らしいエピソードですね。喧嘩とかはしなかったのでしょうか。

加藤 しょっちゅうしてました。しょうもない喧嘩なんですけど、意見が食い違う時があって。夫人の周りの方はイエスマンの人が多いんですよ。夫人に言われたら、「はい、わかりました」と言って、楯突かない。

 でも私は、嘘つくのが嫌なので、はっきり言っちゃうんですよね。「あなたの考えは間違っています」「いや、私はこうです」「いや違う、こうだ」……。最後まで話がまとまらないので、お互いに「もういいです」って終わって(笑)。でも後に引きずらず、「じゃあテレビでも見ましょうか」と、すぐに火は消えるんです。お互いに言いたいことを言い合っているから、スッキリしていて。

 お洋服を一緒に買いに行く時も、「これ買った方がいい? 買わない方がいい?」って聞いてくるんですけど、「これは必要ない。似合わないです」とはっきり言っていました。それでも店員さんは勧めるんですよ、買って欲しいから。でも私がそう言うと、「じゃあ買うのやめます」って。そういう本心で会話ができるのが、すごく良かったです。

2021.12.27(月)
文=「文春オンライン」編集部