海抜約47メートル、傾斜30度の“馬の背”

 さて、鳥取砂丘の砂はどこから運ばれ、どうやってできたのでしょう? 

① 中国山地の火山活動で生まれた花崗岩などが風化して砂となり、雨によって川に流れる
② 大量の砂が千代川に集まり、日本海へ流れ出る
③ 海流によって砂が運ばれ、浅瀬に堆積
④ 波浪によって海岸に打ち上げられる
⑤ おもに冬の北西の激しい季節風によって砂が吹き上げられ、陸地に積もり、海岸砂丘を形成

 山から川を下り、海へ出て、陸へ上がる、大きな自然のサイクルの中で、長い年月をかけて造られたのが鳥取砂丘なのです。

 おもな見どころコースは、鳥取砂丘ビジターセンター近くのスタート地点から、ゆっくり歩いて約1時間。

 けれど、多くの観光客はスタート地点の真正面にあるハイライト、馬の背に向かって一直線に砂丘を突っ切っています。

 この馬の背は海抜47メートル、傾斜30度。ふもとから見上げると切り立った砂の壁です。そこをよじ登り、てっぺんを目指します。かなりの運動量。もちろん脇道や少し遠回りをすれば、それほど体力を必要とはしません。

 そして、てっぺんからは広大な日本海を望みます。沖にあもう島が浮かび、右は馬駟馳山(しちやま)、左は緩やかな海岸線の向こうに千代川の河口があります。そして時折、頭上を鳥取砂丘コナン空港に離着陸する飛行機が横切ります。

 砂丘では、砂の壁をよじ登る子供たちや若者たち、てっぺんからは家族や仲間が応援しています。一方、砂に腰を下ろし、日本海とじっくり向き合っている人も。砂山のてっぺんで思い思いに過ごしています。

 多くの人がそのままスタート地点へ戻ってしまう直行直帰のコースですが、少し歩いただけで、非日常な風景が待っています。

2022.01.01(土)
文・撮影=古関千恵子