鳥取砂丘で体験する究極の非日常「月面探査」
馬の背の左右には、毎秒5~10メートルの風が作る風紋。刻々と紋様を変えながら、風下へ移動していきます。誰もいない風紋に立っていると、どこか中東へ訪れた気分。
天候の条件が揃えば、珍しい現象に出会えます。砂の中の微粒子がくっついた三角錐状のかたまりが現れる“砂柱”(冬に多い現象)や、湿った砂がくずれる砂なだれの“砂簾”など。
四季折々で風景も異なり、冬はドラマティックな光景と出会えるかも。馬の背のふもとに“オアシス”(水深1.5メートルになることも)ができやすいシーズン。また一夜にして、一面の雪景色になることも。西高東低の気圧配置の冬は、砂丘を造り上げた季節風のシーズンでもあります。
そしてなんと、鳥取砂丘で宇宙飛行士体験ができます。
毎週土曜に開催される、夜の砂丘で“月面都市”を造り上げていく、「月面極地探査実験A」という宇宙エンターテイメント。
ARグラス(現実の光景と仮想空間の映像を重ねて見られる)を装着して、地球を出発。月面のような砂丘で、宇宙飛行士としてのミッションをクリアしていきます。
正面の視界だけでなく、振り返ると宇宙船、視線の脇に宇宙基地。完成した月面都市は建物の裏に回ることができたり、頭上を鳥が飛んでいたりと、未来へ迷い込んだようです。
このエンターテイメントを手掛けるのは、ふだん宇宙開発を担当する研究者や技術者が集まる若手の研究者集団(amulapoアミュラポ)。ARでの宇宙体験は子供だましではなく、遊び心のあるリアルさに満ちています。
このエンターテイメントをスタートしたきっかけは、一般の暮らしと宇宙開発とにまだ大きな乖離があると感じて、まずは興味をもってもらおうという願いからだそう。この体験から将来、宇宙開発にたずさわる人材が生まれるかも⁉ それはともかく、宇宙がちょっと近くなった気がします。
※「月面極地探査実験A」は自然公園法の許可申請を行ったうえで開催されています。
鳥取砂丘
●アクセス 東海道・山陽新幹線「のぞみ」で大阪駅または姫路駅へ。特急「スーパーはくと」に乗り換え、鳥取駅へ。鳥取駅バスターミナルから約20分、「砂丘会館」または「砂丘東口」下車。
●おすすめステイ先 観水庭 こぜにや
https://kozeniya.com/
【取材協力】
鳥取砂丘ビジターセンター
https://www.sakyu-vc.com/jp/
アミュラポ
https://lunar-base.jp/
Column
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2022.01.01(土)
文・撮影=古関千恵子