ご自分が生まれる前のご両親の心境までも的確に説明されるお言葉に、宮内庁担当記者たちも舌を巻いた。

「長官はもちろん、侍従長も女官長も、ここまで両陛下の心情を理解し、しかも説明できる能力のある人はいないでしょう。秋篠宮さまも、紀宮さまの聡明さを『兄二人よりしっかりしている』と信頼し、スピーチや文書などの内容を発表前に相談することがあるといいます。儀式などでわからないことも、電話で紀宮さまに尋ねると、皇居で一緒に暮らす天皇皇后両陛下に確認してくださるそうです」(前出・宮内庁担当記者)

 皇室では「ご身位」が重んじられるから、天皇皇后両陛下から、皇太子、秋篠宮両殿下にお声をかけられることは少ない。そのなかにあって、紀宮さまはご家族ひとりひとりに対して心を配られた。ご兄弟のお気持ちを両陛下に伝え、両陛下のご意向をさりげなく兄弟にお教えになってきた。

 

紀宮さまのとり計らいで、美智子さまと紀子さまは…

 たとえば、大恋愛の末に「どうしてもいま結婚したい」と深夜何日間も両陛下に迫り、婚約発表を勝ち取った秋篠宮ご夫妻。紀子さまがある時、秋篠宮さまといさかいがあって天皇家の会合になかなか顔を出されないことがあった。そのときも心配した紀宮さまが美智子さまにとり計らい、その仲裁でお二人の仲がことなきを得たこともあった。

「学習院の先輩後輩にあたる紀子妃と紀宮さまは仲がよく、二人でお菓子を作ったりしている。そこに皇后も加わることもあり、紀宮さまは皇后と紀子妃が親しくなるきっかけを作られた。紀子妃もまた、御所に手料理を届けたり、お子様方を積極的に皇居にうかがわせている。書道を宮家の方に習うなどして、皇室に馴染もうとする努力をされてきたのです」(前出・皇室関係者)

 結婚された皇太子殿下に対しても、紀宮さまはある時期、毎日のように電話をかけあうほど仲が良かった。

 別の宮内庁関係者が、東宮の近況をこう話す。

「公務を休まれている雅子妃も、新潟中越地震の被害には心を痛められています。治療はうまく進み、気持ちも前向きになられている。健やかに成長される愛子さまのご様子も雅子妃を支えています。伝えられたように外国訪問にこだわっているわけでは決してなく、なるべく早く公務への復帰を果たしたいというご心境のようです。

2021.11.26(金)
文=友納 尚子