家長がパネットーネを切り分けるイタリアの習慣

 イタリアでは11月頃から一斉にスーパーやパン屋さんにパネットーネが並びます。

 今年はここのお店にしよう、次はあっちのものを買ってみよう、などなどパネットーネ談義に花を咲かせるのもこの季節ならでは。

 ちなみに、カトリックの国ではクリスマスイブまでの4週間をキリストの降誕を待ち侘ぶ「アドヴェント」と呼び、この時期に食べるお菓子を「アドヴェントスイーツ」と呼びます。パネットーネはこのアドヴェント時期から少しずつ食べ始めます。

 クリスマス当日は、健康を祝って家長がパネットーネを切り分けるそうです。

 パネットーネ、乳酸っぽいというか柑橘っぽいというか、パネットーネにしかない独特の爽やかで甘い香り、そしてパサパサしてそうな見た目とは全く違うしっとりした口溶けは唯一無二! あまりの美味しさに、初めて食べた時は本当に感動しました。ある年は3日に1個のペースで10種類以上食べたことも。同居人たちは呆れていました。

 ベースの生地にレーズンとオレンジやレモンなどの砂糖漬けが入ったクラシカルなタイプから、最近はピスタチオやチョコレート、リモンチェッロなどのリキュールに浸ったものなど、フレーバーも様々。

 生ハムを挟むパネットーネガストロノミなども流行っているそうです。

 ここ最近は「パネットーネ ・アルティジャナーレ」といって、機械ではなく職人が一つ一つ作るパネットーネが人気で、有名シェフやパティシエたちが独自のレシピで毎年競っています。

 甘すぎず重くなく、毎日飽きずにクリスマスを過ぎても楽しめるパネットーネ。

 是非、今年のクリスマスはこのイタリア伝統のケーキを堪能してみては?

北イタリア・ピエモンテ州で創業100周年を迎える老舗「Galupガルップ」のパネットーネ

発売期間 2021年11月24日(水)~11月30日(火)
場所 松屋銀座B1フロア/阪急うめだ本店B1フロア
https://il-bivio.com/galup/ 

齊藤奈津子(さいとう なつこ)

イタリア料理研究家。TVディレクターとして様々なジャンルのテレビ番組を制作するうちにイタリア料理の素晴らしさに目覚め、2009年、イタリア料理研究家1級を取得し翌年イタリアのフィレンツェへ料理留学。帰国後、イタリア各州の郷土料理を紹介する「イタリア家庭料理教室180℃」を開業。イタリアの食文化、そしてチョコレートを広める活動を続けている。インスタ:@natsukosaito0104

Column

簡単なのに味は抜群! イタリア・マンマの愛情レシピ

郷土料理こそがイタリア料理の真髄! イタリア各地方の郷土料理やマンマの工夫料理を研究している齊藤奈津子さんが、家でも簡単に再現出来る本格イタリア料理のレシピをご紹介します。

2021.11.24(水)
文・写真=齊藤奈津子