少しの濃度の違いでしかないように感じますが、こうした工夫で髪へのダメージを大きく軽減することができています。

 しかしドラッグストアで購入するセルフカラーには、6%のものだけが用意されています。セルフカラーを購入する人の一番の悩みは“根元のプリン”なので、根元が確実に染まるようにするためです。

 そのため「毛先も染めたいから」とその薬剤を毛先まで付けると、必要以上のダメージがかかります。また毛先に付けるつもりがなくても、慣れない手つきで塗布すると薬剤が毛先にまで伸びてしまいやすく、ダメージに繋がりやすいと言えます。

 

 また、「もっとちゃんと染まって欲しいから」という理由で、薬剤を塗ってからパッケージに明記された規定の時間以上置く方もいるようですが、薬剤が作用する時間の長さには限りがあるので、既定の時間以上置いても効果はありません。むしろ、髪の毛や頭皮を薬剤に触れ続けさせることで、負担がかかり続けてしまいます。

安価な価格帯の美容室は△

 もちろん美容室でカラーをすれば、過度なダメージは抑えることができます。しかし、ダメージの程度は、美容室が扱う薬剤次第で大きく変化します。美容業界へ薬剤を提供するメーカーは数多あり、美容室側の多様なニーズに合わせるために、薬剤もピンキリで用意されているのです。

 最新の薬剤は、髪へのダメージを軽減しながら理想のカラーリングに繋がるよう進化しています。それらは、髪への負担の大きかった従来の薬剤との差別化を図るために、値段も高めに設定されていることも多いです(もちろん配合する成分にお金がかかっているためでもあります)。

 特に最近では、ハイトーンのカラーの需要が増えたこともあり、「ヘアブリーチ」の進化が著しいです。髪をケアしながらブリーチするための薬剤や技法がSNSによって美容師に広がり、「ブリーチした髪は、ガシガシに髪が傷んでしまう」という従来の価値観は変わりつつあります。

2021.11.08(月)
文=操作イトウ