昭和初期に英国人貿易商アーネスト・ウィリアム・ジェームス氏が外国人向けの別荘地として開発し、「ジェームス山」と呼ばれるようになったエリアで知られる西神戸・塩屋。
今も異人館が残り、どこか異国情緒漂う坂道の街を歩けば、風に海の匂いが混じり、ちょっぴり旅気分。
JR山陽本線塩屋駅の北側は、魚屋や豆腐屋、クリーニング店、理容室など、昭和ままの佇まいの商店が元気に営業中。さらにここ数年、路地にカフェや雑貨店がぽつぽつできました。
休日に細い路地を巡ってお散歩する人も多くなっています。
そんなエリアに2021年8月1日にオープンしたのが「Ryu Cafe」。JR塩屋駅から、住宅街の細い路地を歩くこと約2分。大正時代の建物を改装した隠れ家のようなカフェです。
お店に入ると、凝った意匠の棚や懐かしい造りの椅子がさりげなく配され、ゆったりとした空気が流れています。
営むのは、昨年まで台湾のホテルレストランで働いていた東京出身の藤井俊輔さんと、台北生まれの劉 晏伶(りゅうえんれい)さん。劉さんは日本人客が多い台北の茶藝館でアルバイトをして日本に興味を持ち、大学で日本語を勉強して日本の会社に勤めたのだそう。
2人が目指したのは「ゆったりとした居心地の良いカフェ」。農業研修で訪れた神戸が気に入り、中心街ではなく、静かな塩屋の街で開業したと言います。
カフェの一番人気は「豆花」。「使っているのは、近所の田仲とうふ店の豆乳。朝、お店に来たら一番に豆乳を買い行くんです」と藤井さんはにっこり。
ここの豆乳に合わせた作り方を追求。つるんとしていて、ふわっとした独特の食感。さらりとしたシロップは甘さ控え目。大豆の優しい風味が口いっぱいに広がって、いくらでも食べられそう。
白キクラゲ、蓮の実、なつめ、仙草ゼリー、小豆、芋団子など、トッピングが選べるのも楽しい。
「トッピングは季節で替ります。11月からは、温かい豆花にします。生姜を入れようと思っているんです」と藤井さん。
ランチにも、魯肉飯(ルーローハン)や麺だけでなく、薬膳のお粥「滋潤粥(ツールンゾウ)」が用意されているように、おやつも身体に優しい、癒やしのカフェなのです。
2021.11.14(日)
文・撮影=そおだよおこ