EXILE、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEに属し、パフォーマーとして活躍するEXILE NAOTOさん。
個性豊かで魅力あふれるメンバーの中でも、俊敏かつ華やかなダンスの才で、ひと際輝き、見る者を虜にしている。
NAOTOさんの活動はアーティストに留まらず、バラエティ番組への出演や、ファッションブランドのクリエイティブ・ディレクター、YouTubeチャンネルなど多岐に渡る。中でも、NAOTOさんが魅せられているのが俳優としての仕事。
映画では単独初主演となった『DANCING MARY ダンシング・マリー』では、『DRIVE』や『砕け散るところを見せてあげる』などで知られるSABU監督とタッグを組んだ。
「純愛サイキック・エンターテイメント」というキャッチコピーが躍る同作において、NAOTOさんは普段のオーラを完全に消し去り、しがない市役所職員の藤本を演じ切った。俳優としての面白みを改めて実感している今、NAOTOさんに撮影時のエピソードや、これからについて聞いた。
「褒めて伸びるタイプ」と思われたかも(笑)
――SABU監督によるオリジナル脚本『ダンシング・マリー』で、初の単独主演映画となりました。おめでとうございます!
ありがとうございます。最初に脚本を渡されたときは「コメディだしホラーだな」と思って読み進めていったんですが、だんだん、「あれ……すごくピュアなラブストーリーなのか?」と感じました。それで今日(※取材日)初めてポスターを見たら、「純愛サイキック・エンターテインメント」と書いてあって(笑)。なんかいい言葉です……よね⁉ 受け取る人にとって、いろいろな形に変わる映画だと改めて思いました。
――様々な要素をはらんでいる本作において、NAOTOさんにとっては、どのあたりがピュアなラブストーリーと感じたところでしたか?
僕が演じる市役所職員の藤本は、いわくつきのダンスホールの解体担当になるんですけど、そこにはマリーという女性の霊が住みついているんです。藤本はマリーから「恋人のジョニーを探してほしい」と頼まれる……というストーリーで。
僕がピュアだと思ったのは、マリーとジョニーの関係性でした。ふたりとも幽霊だから、もはや姿形がない状態なのに、それでもお互いが会いたいと強く想い合っている。よく「形あるものはなくなってしまう、けど想いは残る」と言うじゃないですか。それを映像化していて、究極のピュアな純愛だと思いました。
この映画のポイントは、それをストレートに映しているわけではなく、SABU監督流の描き方をしているところ。ふたりの回想シーンが特に好きなんですけど、そこだけは本当にキレイに描かれていて。けど、ほかは血みどろのシーンがあったり、コメディがあったりする(笑)。これこそがSABU監督ならではの緩急のつけ方で、観ている人の気持ちをきっとぐるぐるかき回してくれると思います。
――SABU監督とNAOTOさんは、いつからコミュニケーションを取っていたんですか?
最初は、LDHの社員の中にSABU監督の同級生がいたんです。それで、「一度お会いして話しましょう」となって、撮影前に二度ほどお会いしました。僕はSABU監督の作品が大好きなので、「あれ、観ました!」とか、そのときはざっくばらんにお話をしたんです。その後、SABU監督が作品を撮るとなって、その1本を僕がやらせてもらった、という形になります。
――となると、『ダンシング・マリー』の藤本はSABU監督がNAOTOさんをイメージして書かれていたんですね。
「『ダンシング・マリー』をやりましょう」となったときに、僕のことを割とイメージはしてくれていたみたいです。きっと「NAOTOがこういう役を演じたら面白いんじゃないか」と思って書いてくださったのかな、と。
実際、クランクインして、初めて藤本が長くしゃべるシーンを撮り終わったときに、SABU監督がばーっと僕のところまで来てくれたことがあって。「思っていた藤本にぴったりだわ! うれしくて来ちゃいました!!」みたいなことを言ってくださって。俺はそれがすごくうれしくて。
――SABU監督がそんな風に興奮するとは、イメージにぴったりな藤本をNAOTOさんが表現できたということですね。
最初に台本を読んだとき、藤本は演じるのがすごく難しいと思っていたんです。どちらかと言うと、強烈なキャラクターのほうが演じやすかったりしますが、藤本はごく普通なので……どうやって演じるかのとっかかりが、すごく難しくて。
悩んだので、監督にそう言ってもらったことがすごく自信になりましたし、最後の撮影が終わるまで、自分の中ではずっと救いの言葉でした。……とはいっても、SABU監督は百戦錬磨だからいろいろな引き出し方を持っていて、「こいつは褒めて伸びるタイプ」と思って言ってくれたのかもしれないですけど(笑)。
2021.11.04(木)
文=赤山恭子
撮影=榎本麻美