半乾きでもダメです。コテ、アイロンは必ず乾いた髪に使ってください。なぜなら濡れた髪に「タンパク変性」という現象が起きてしまうからです。

 この現象は「目玉焼き」に例えることができます。

 生卵の白身は、熱されたフライパンの上で透明なジェル状から真っ白な個体に変わり、「目玉焼き」になります。これは白身の「タンパク質」が熱によって変性(性質が変わる)した状態なのですが、同じく「タンパク質」でできている髪の毛でも同じ現象が起きます。

 

 急激に熱々のフライパン(コテ)にのると水分は瞬時に蒸発しますが、その際に小さく「水蒸気爆発」が起きています。これは「火山が噴火している」のと同じ状態で、その瞬間的な圧力と高熱によって髪の毛は「タンパク変性」を起こしてしまい、ジリジリと細かくうねりゴワゴワした髪の毛になってしまいます。こうなると、美容師が薬剤を駆使しても治すことはできず、切り落とすしか方法はありません。

「洗い流さないトリートメント」が招く間違いについて

「洗い流さないトリートメント」は、ドライヤーで乾かす前に付けることで髪の内部に浸透してトリートメント効果が得られる、メイクでいえば下地のような物です。

 程よいしっとり感やまとまりができ、指通りも良くなって、髪のダメージを最小限に抑えられます。オイルタイプかクリームタイプが多いため、乾いた髪へのスタイリング剤としても利用できます。

 業界では「アウトバス(out-bath)トリートメント」と呼びますが、一般には認知されていないため、“洗い流さない”と文字数の多い呼び名がよく使われていますが、その呼び名のため、誤解を受けやすい点が2つあります。

 まず、お風呂で使うトリートメント(「インバス(in-bath)トリートメント」と呼びます)やコンディショナーとは別物です。そもそもの用途が違うため、どちらかをつければオッケーというものではありません。洗い流さないトリートメントを使う時にも、お風呂のトリートメントやコンディショナーは付けてください。

2021.10.11(月)
文=操作イトウ