100均グッズや身近なもので 「プチプラ防災」を

 さて、デスクのまわりを見渡してみると、倒れてきそうなロッカーや本棚、ありませんか?

「高いロッカーや本棚は突っ張り棒で補強するのがいちばんですが、低いものは家具転倒防止板や滑り止めシート、耐震マットなどを使うのもテです。どれも100均で揃うものでOK!」と辻さん。地震の震度によってはPCのモニターが飛び出すこともありますので、これも耐震マットなどで固定すること。

 100均に行ったら、一緒に45リットルのゴミ袋も手に入れておきましょう。ゴミ袋と新聞紙は災害時には大活躍! たとえば、停電時の冷え対策。ちぎってくしゃくしゃに丸めた新聞紙をゴミ袋に詰め、そこに足を入れればまるで湯たんぽのように温まるそう。新聞紙を手首や足首に巻いておくだけでも体温維持になります。これも覚えておきたい防災テクのひとつ。

 また、新聞紙を折って簡単に作れる「新聞足袋」も被災時には大活躍! パンプスやサンダルでは、割れて床に落ちたガラスで怪我をする危険もあります。しかも新聞足袋は丈夫なだけでなく、冷え対策にも。辻さんのYouTubeチャンネルを見ながら作ってみましょう。

いつもあるものこそ非常時の大きな味方に

 災害時こそ一刻も早く自宅に戻りたいところですが、交通状況などによってはオフィス避難が長引くこともあります。安全を確保し、少しでも快適に過ごせるよう備えたいもの。

「チョコとかアメとか、普段からデスクに置いてあるちょっとしたお菓子も、非常時には貴重な食糧になります。物にぶつかってメガネが割れてしまったり、オフィス宿泊になったりすることも考え、メガネやコンタクトレンズの予備も必要。また、必ず持ち歩いてほしいのがモバイルバッテリー。情報は被災時の命綱です。持っているけど充電していない、なんて人も、忘れずマメに充電しておきましょう」

 長時間の停電に備え、コンパクトなハンドル充電式のバッテリーラジオをデスクに置いておくのもおすすめ。会社の備蓄に頼るだけでなく、自分のデスクに最低限のストックをしておくのも、誰もができる防災対策のひとつです。

【コラム】

被災時に大きな問題となるのがトイレ! 辻さんによれば、水と食料の備蓄はあっても、トイレ対策はされていないオフィスが多いそう。人数が多ければ汚れるのもあっという間。そんなとき、ゴミ袋と新聞紙、ペットシーツを便器にセットして使えば、汚れも少なく片付けも簡単です。

忘れがちなオフィスのトイレ対策も事前に意識を

 いつもはきれいなオフィスのトイレも水が流れないかもしれません。すぐに汚れ、ストレスの原因になるのは時間の問題です。

2021.09.29(水)
取材・文=張替裕子(giraffe)