外の人を受け入れるオープンな地域性が魅力

 2019年4月に玉野に移り新生活を始めた西尾さん。約1時間かけて岡山市内の保育園に車通勤していたが、地域に密着した仕事をしようと7月に退職。3年に1度開催される瀬戸内国際芸術祭の手伝いをするなど、玉野でネットワークを広げていく。

 そのなかで古民家を改装した「コミュニティラボ 月日」が開店することになり、西尾さんはカフェの調理を担当することに。

「この町にいると人の縁で何かしらの仕事があるんですよね。移住して起業する方も多く、外からの人を受け入れる“出入り自由”という雰囲気がここにはあります。

 仕事帰りによく立ち寄る『ココカ古書店』の方も5年くらい世界を巡ってからゲストハウスを作り、そのあと古本屋さんを開いたんです。そういった感性豊かな人たちに出会えるのが面白いですね」

 日々の生活は、東京にいたときとまるで違う。海が見える大きな窓から射し込む朝日で目覚め、時間がある日は宇野港まで散歩することも。

「歩くのが好きなので、時間を見つけては海や近所の緑豊かな場所を散策しています。こっちに来て一番感じたのは晴れの日が多いこと(笑)。東京はゲリラ豪雨があったりと天候が不安定だったと改めて思いました。晴天だと気持ちが晴れ晴れして前向きになれる。天気ってこんなに人の心を左右するんだと感じてます。

 また、歩いていると小学生やおばあちゃんによく話しかけられる(笑)。知らない人同士でも同じ場所を共有している相手だからこそ話したくなることがあると教えられます」

 発見のある暮らし、人との繋がりで、自分が求めているものや何が必要で何が不要なのかが明確になったという。

「玉野に来て3年目ですが第二の故郷ができた感じです。ここを拠点に、別の場所に活動の場を広げていくのも面白いかも、と夢は膨らんでいます」

幸せな朝時間 AM10:00
「朝の仕事の後に本を読む贅沢」

朝の仕事が落ち着いた後、店の縁側で読書タイム。

旅するように地方に住んでみたら

2021.09.29(水)
Photographs=Wataru Sato

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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