強力タックルを生む過酷なトレーニング
レスリングの試合では、ダイナミックかつ素早い動きでタックルや投げ技をしかける大技に注目が集まりますが、正面からお互いの肩や腕をつかみあい相手のバランスを崩す「組み手」など、試合の中で駆け引きの緊張感が伝わってくる技も多くあります。
これらの技を成功させるには、全身の筋肉、特に「下半身、腹、肩、腕」の筋肉をしっかり鍛える必要があります。
今回は、組み手やタックルで相手の下半身を持ち上げて倒すときに重要な、「腕(上腕)」の筋肉について注目したいと思います。
上腕の筋肉は一般的に“力こぶ”と呼ばれる「上腕二頭筋」と“二の腕”と呼ばれる「上腕三頭筋」があります。上腕二頭筋はひじを曲げる時、上腕三頭筋はひじを伸ばす時にはたらく筋肉です。
日常の動作で言えば、ひじを曲げた状態で袋に入った荷物や平積みの書類などを運ぶときに使われるのが二頭筋で、重いものを押して動かすときや、手をついて腕の力も使い立ち上がるときに使われるのが三頭筋です。
この上腕の筋肉を鍛えて、1秒~2秒という超スピードで強力なタックルを繰り出すため、レスリングの選手たちは「綱のぼり」という種目を取り入れています。
綱のぼりとは、ロープを掴んだ腕だけで自分の体を支えてロープを上っていくトレーニングなのですが、一般の人にはとうてい無理な動きです。
これだけでも、選手は日々いかに過酷なトレーニングを積んでいるかわかります。
ビギナーが二の腕を鍛えるにはどうすれば?
さて、一般の人はそんな過酷なトレーニングはできませんが、腕の筋肉は私たちの日常生活においても必要不可欠な存在。とくに女性が気になるのは“二の腕”と呼ばれる「上腕三頭筋」ではないでしょうか。
「集合写真などで横向きに並んで写ったとき、自分の二の腕が想像以上に太くてビックリした」という声をよく聞きます。
しかし、効果的に鍛えることで脂肪燃焼を促進し、細く引き締まった二の腕を手に入れることが可能です。旅行や飲み会などの集合写真で横向きに写るのも、もう怖くありません。
さらに、この上腕三頭筋は肩こり筋である「僧帽筋」や「肩甲骨回りの筋肉」ともつながっているので、鍛えることで肩こり解消や四十肩などの肩の不具合改善も期待できます。
「トライセプス・キックバック」で効果的にトレーニング
上腕三頭筋を効果的に鍛えたいなら、「トライセプス・キックバック」がおすすめです。
このトレーニングは、他の三頭筋トレーニングに比べて首や肩など腕以外の場所に余計な力が入りにくいため、効果的にトレーニングができるとビギナートレーナーにも評判がいい種目です。
【やり方】
① 床やベッド上など平らなところで四つん這いになります。このとき背中が丸まらないように、後頭部から腰まで真っすぐにするよう意識します。そして両手は肩関節の真下につき、両膝はだいたい腰幅でつくのがベストです。
② 次に右腕を床から離し、脇を軽くしめ腕が体に沿うようにつけます。この時ひじは約90度に曲げておきましょう。これがスタートポジションになります。
③ 準備ができたら、右腕の肩から手までが一直線になるようにひじを伸ばしましょう。これがフィニッシュポジションです。この時伸ばした右腕が地面と水平になるくらいしっかりひじを伸ばすと三頭筋をより効果的に鍛えることができます。フィニッシュポジションを1秒ほどキープしたら、またひじを曲げてスタートポジションへ戻します。この動作を15回繰り返します。
④ 右腕で15回終わったら、次は左腕でやりましょう。15回を1セットとして、1日3~5セットやると効果的です。同じ腕で連続複数セットやるより、1セットずつ交互にトレーニングすることをおすすめします。
【ワンランクUPにチャレンジ】
動かす方の手で500mlのペットボトルを持てばトレーニング強度が上がり、さらに引き締まった二の腕を手に入れられるでしょう。余裕のある人はチャレンジしてみてください。
川井梨紗子選手、川井友香子選手の強烈なタックルや組み手を支えるのも、あなたのふっくら二の腕を引き締めるのも、同じ上腕三頭筋です。オリンピックアスリートの活躍をきっかけに、あなたも日常生活にトレーニングを取り入れてみてはいかがでしょうか。
オリンピックアスリート 美しきマッスルボディの秘密
2021.08.03(火)
文=佐藤 豊
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