日本海を臨む、アイヌ語で“神”を意味する岬

 上から見ると翡翠色がかったブルーの美しさに魅了されますが、ゴロタ浜へ下りると、透明度の高さに驚きます。

 甘露水のように透き通った海水に、「ひょっとして甘いんじゃないだろうか?」となめてみたら、やっぱりしょっぱかった……。

 ちなみに展望台へ続くトンネルは、かつてニシン漁で栄えていた時代、水揚げした漁獲を陸へ運ぶために掘られたものだそう。

 今、ドラマティックな島武意海岸の演出になっているとは、当時の漁師さんも想像しなかったことでしょう。

 さらに国道229号を進み、アイヌ語で“神”を意味する“カムイ”の名をもつ神威(かむい)岬へ。

 深いブルーの日本海に突き出るようにそびえる断崖絶壁が、約770メートルも続いています。入口の「女人禁制の門」から続く、断崖の尾根道には「チャレンカの小道」という名前が付いているそう。

 この「チャレンカの小道」には、ある伝説が残っています。

 鎌倉時代、北海道に逃れたとされる源義経はアイヌの首長の娘チャレンカと出会い、恋仲に。けれど、野心を捨てきれぬ義経は娘のもとを去ってしまいます。

 義経の船を追ったチャレンカは神威岬から身を投じ、それ以来、この海域を通る女性を乗せた船は遭難するとの伝説が明治初期まで信じられていました。

 が、義経さん、島武意海岸でもアイヌの女性を泣かせた伝説が残っています。北海道へ渡ったという伝説も、真偽のほどは定かではありませんが、色男っぷりは全国区だったようです。

積丹半島

●アクセス 新千歳空港から積丹半島の神威岬まで車で約2時間40分
●おすすめステイ先 積丹町 海鮮の宿・お食事 みはらし荘
http://www.miharashiso.com/


取材協力/K-LABO SUP

https://www.k-labo-sup.com/

古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

Column

古関千恵子の世界極楽ビーチ百景

一口でビーチと言っても、タイプはさまざま。この広い世界に同じ風景は一つとして存在しないし、何と言っても地球の7割は海。つまり、その数は無尽蔵ってこと? 今まで津々浦々の海岸を訪れてきたビーチライター・古関千恵子さんが、至福のビーチを厳選してご紹介します!

2021.07.17(土)
文・撮影=古関千恵子