●実践! まずは外からほぐします

 では、体験です。

 マッサージを受けるのは、一般的な歯医者さんでよく見るごく普通の個室スペース。

 椅子に座ってアイマスクをしたら、口の外の筋肉からていねいにほぐしていきます。

「口腔マッサージは、口の中を広げてかみ締めを軽減することを目的としています。そのために、『側頭筋停止部』という上下のあごが交わっている『ちょうつがい』のような場所周辺の凝りをほぐし、緊張した筋肉をリリースさせます」(詫摩さん、以下・同)

「ですが、かみ締めの強い方は筋肉が固くなっているので、口の中にいきなり指を入れて広げようとしても指自体が入りません。そこで、まずは口の外側から『噛むことに使う筋肉』をていねいにほぐしていきます」

 口の外側の「噛むことに使う筋肉」とは、「咬筋(こうきん)」や「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」、「側頭筋(そくとうきん)」、「僧帽筋(そうぼうきん)」など。

 それぞれをほぐすことで、内側の筋肉に働きかけます。

 最初に、咬筋に指を入れてもらったのですが、この一撃で、早速「気持ちよさ」を感じました。

 続いては、胸鎖乳突筋。

 触ってもらうと、確かに歯の噛み合わせに関係していると感じます。

 更に、側頭筋をほぐされて、「なるほど、噛むという行為は、様々な筋肉を使って行われているのだな」ということを身体がしっかり感じていきます。

 ちなみに、施術中はずっとアイマスクをしてもらっていたのですが、「眼精疲労とかみ締めは影響し合っているので、温めて目を休めることで筋肉が緩みやすくなります」とのこと。

 予想外の関係でしたが、確かに目が温まるにつれて、かみ締めがほどけていくような感覚を覚えました。

2021.07.25(日)
文=にらさわあきこ
撮影=深野未希
写真提供=飯田橋内科歯科クリニック