俳優活動20年以上を誇る実力派、田中圭(36)。『おっさんずラブ』『あなたの番です』といった社会現象化した作品で主演を張り、「ゴチになります!」等のバラエティでも魅力を放つ、多方面のエンターティナーだ。

 2021年には、なんと6本もの出演映画が公開される見込み。新型コロナウイルスの影響を受けて延期になった作品もあるが、それにしたって驚異的な本数だ。

 コロナ以前の2018年に3本、2019年に3本の映画が公開されたということを考えれば、単純計算で倍の活躍。それだけ彼の人気が増している事実は、疑いようがない。さらに、6月21日からは“月9”ドラマ『ナイト・ドクター』が放送され、今秋にはHuluオリジナルドラマ『死神さん』も配信予定と、正真正銘の「見ない日はない」を実践している。

イメージが固定化しない俳優

 ではなぜ、田中圭はここまで作品が途切れないのか? 一言で言えば人気と実力を兼ね備えているからなのだが、それは言葉でいうほど簡単なものではない。どちらかが秀でているのではなく、どちらも甲乙つけがたいほどに強力だからこそ、彼の元には自然と仕事が集まってくるのだろう。さらに、ほとんどの作品で主役か準主役を任されており、彼に寄せられている期待の大きさがうかがい知れる。

 映画やドラマは娯楽であり芸術でもあるが、同時に興行(ビジネス)でもある。「作品を面白くできて、数字も持っている」田中が必要とされないわけがないのだ。

 しかも、バラエティ番組の経験が豊富なため、番宣(番組宣伝)も安心して託すことができる。様々な意味で「頼れるリーダー」であることは間違いない。

 そして、田中のポテンシャルの高さを証明しているのが「イメージが固定化しない」というところ。役者には様々なタイプがいるが、田中はメジャー作品を中心に活動しながらも、作品ごとに全く異なるキャラクターを演じてきた。

 

 たとえば、今年2月に公開された『哀愁しんでれら』で演じた役は、一見すれば完璧な開業医だが、実は複雑な家庭環境で育ち、内面が歪んでいるというキャラクター。彼は一人娘に異常な愛情を注ぎ、他者を「低学歴」と蔑み、モンスターペアレントへと変貌していく。

2021.06.20(日)
文=SYO