WORLD DREAM PROJECTの市川太一さん、平原依文さんが中心となって編纂した「WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGs」(いろは出版)。

 この本から、世界の若者のSDGsについての考えをピックアップします。

 この若者たちは、ワン・ヤング・ワールド・サミットのアンバサダー。

 190以上の国からやってきた代表者で、社会的影響力を加速させるために活動する優秀な若い才能が集まります。


【フィリピン PHILIPPINES】アリーザ・ノカム

「両親の結婚が教えてくれたこと」

 私の平和への旅が始まったのは、私が「ハイブリッド」だからです。父はカトリック教徒、母はイスラム教徒です。私の国、フィリピンでは、マジョリティであるキリスト教徒とマイノリティであるイスラム教徒の間で緊張が続いています。私の両親の結婚は珍しいもので、そのために闘わなければいけませんでした。

 幼い頃に暮らしていたザンボアンガでは、紛争やテロが多発していました。でも、私は家のなかで二つの宗教が共存できることを見ながら育ってきました。だから、家の外でだって平和を実現すること、他者を尊重し理解することができるはずだと思っていました。14歳のときに両親とともにKristiyano-Islam Peace Library(KRIS)という組織を立ち上げ、紛争の影響を受けていた地域に六つの図書館を設立しました。当初は不審な目で見られることもあり、図書館へやってきてもイスラム教徒の子どもとキリスト教徒の子どもは互いに話すことをためらっていました。しかし、時が経つにつれ、子どもたちは宗教や生い立ちが違っても、一緒に本を読んだり、勉強したりするようになり、平和の礎となる友情を育んでいきました。私たちの図書館が象徴するものが、だんだんと受け入れられていったのです。

 テロ組織や過激派に参加する若者について分かったことの一つ。それは、彼らには他に選択肢がないことです。教育を受けたり仕事を見つけるすべがないのです。貧困が大きなハードルとなっています。私自身も奨学金をもらうことで、名門とされる高校で質の高い教育を受けることができました。だけど、私のようには学校に行けない子がたくさんいます。同じような機会をできるだけ多くの若者たちと共有したいという想いに背中を押され、16歳のときKRISの総合責任者となり、奨学金プログラムを立ち上げました。奨学生たちは、これまで教師や看護師のほか、地元の政府審議会の役員や青年団体のリーダーとなり、地域社会では平和の擁護者になっています。

 平和への道のりは極めて困難なもので闘いを終えることはまだできません。私は今、世界中から集まった9人の若いリーダーたちと一緒にExtremely Togetherを結成し、暴力的な過激主義を防止するためのアイデアを出し合っています。今、強大な力を持った国家元首や組織のリーダーたちの多くが、恐怖や不安を利用して紛争を引き起こしているのなら、若者は逆の方向に進まなければなりません。戦争をする人たちよりも、もっと強く、もっと大きな声で平和を叫ぶことが私たちの責任です。より多くの若者が平和の擁護者、リーダーになることを夢見ています。

2021.06.14(月)
文=「WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGs」編集部