WORLD DREAM PROJECTの市川太一さん、平原依文さんが中心となって編纂した「WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGs」(いろは出版)。
この本から、世界の若者のSDGsについての考えをピックアップします。
この若者たちは、ワン・ヤング・ワールド・サミットのアンバサダー。
190以上の国からやってきた代表者で、社会的影響力を加速させるために活動する優秀な若い才能が集まります。
【ルクセンブルク LUXEMBOURG】ヤナ・デグロット
「誰もが世界の一員」
私が当選するとは、彼らは思ってもみなかったのでしょう。21歳で初めて選挙運動をしたとき、人々は私が抱く期待を抑えようとし続けました。「最下位になっても、戸惑うことはないよ」と、私の背中を軽く叩きながら上から目線で言ってきたものでした。あるいは、「そんな大きなプレッシャーに本当に耐えられる?」と言って、暗に諦めた方が良いと促してきたのです。今ではルクセンブルクの最年少政治家の1人になりましたが、この経験を通じて私は国の発展のために若者がリーダーになることの重要性を確信しました。
でもここで話したいのは、そもそもなぜ私のような若い女性が政治にかかわっているのかという話なのです。私は政治への関心から道を選んだわけではありません。政治家になる前から、私は活動家でした。そして、自分が経験してきた差別について話をすればするほど、ますます多くの女性たちが自分も同じような経験をしたと打ち明けてくれたのです。私たちは男性でないために過小評価され、白人でないために差別を受けています。私たちの人生経験は信用されず、耳を傾けてさえもらえないのです。性別や肌の色、階級に関係なく、すべての人に自分の能力を発揮するチャンスが与えられる世界を、私は夢見ています。
そして、あらゆる夢には始まりが必要ですから、私は古くからの教え「今でなければいつ? 私たちでなければ誰がやる?」に応えました。2020年の国際女性デーにWe Belong Europeを共同設立したのです。この組織は、個人の経験を広めることから変化は始まるという考えに基づいています。私たちは有色人種の人々が安心して集まれる場所をつくり、経験を共有し、アイデンティティを探求し、自分の人生の物語を発展させています。
We Belongではさらに、白人が大多数を占める場から有色人種の人々を追いやる、暗黙の偏見にも異議を唱えています。例えば「どこの出身ですか? いえ、本当はどこの出身かと聞いているのです」といった質問は、有色人種の人々に大きな負担を与えます。グローバル化した世界で、なぜいまだに国籍を特定の肌の色と結びつけて考えるのか、理解できません。誰かのアイデンティティに疑問を抱くことは、その人がその場所の一員だと感じている意識に異議を唱えることで、その人の自由や人生の決断に悪影響を及ぼします。
私たちの世代のうちに、進歩は可能だと証明したいと思っています。そして誰もが、自分が本来持っている能力と同じくらい限りないチャンスを持っていると気づいてもらいたいのです。
2021.06.12(土)
文=「WE HAVE A DREAM 201カ国202人の夢×SDGs」編集部