インフレ時には株式や不動産が強く、預金や国債などの債券はデフレ時に強い(インフレ時には弱い)と言われます。今回は、そもそも債券とは何だろうというおさらいから始め、インフレ時に持っていても安心な預金や国債などの債券をお伝えしたいと思います。
まず、債券とは借用証書のようなものです。国、地方自治体、企業などが資金を集めるために債券を発行して、個人や企業がお金を貸します。証券会社に口座を開いていると、よく企業が発行している債券(事業債)のパンフレットをもらったりしますよね。
債券投資のいいところとしては保有していると一定の利子が受け取れ(一部そうでない商品もあります)、満期まで保有していると額面金額が戻ってくるということです。また、途中で売却することもできます。
債券投資のリスクとしては、購入した債券の発行体が倒産する可能性があるということです。そうなると、場合によっては貸したお金が一部しか戻ってこないということもあります。
また、途中で売却をすると価格が値下がりする可能性があります。たとえば、低い金利のときに買った債券は、金利が上昇すると売れにくくなります。2%の金利の債券が出るというときに、1%の金利の債券をわざわざ買おうという人はあまりいないでしょう。そうした場合は低い価格でしか売れなくなってしまいます。
預金と債券の大きな違いは、倒産と途中売却のリスクがあるかどうかです。預金の場合は、万が一、お金を預けている銀行が倒産したとしても、預金保険制度により元本1000万円とその利息は守られています(外貨預金など一部の預金を除く)。また、途中で解約した場合も、金利が低くなるなどのペナルティはあるものの、元本は保証されることが一般的です(仕組み預金など一部の預金を除く)。
私たちが預金で銀行にお金を貸し出す場合、実は銀行も国や企業などにお金を貸し出しているんです。銀行が間に入ってくれていると、企業の倒産リスクを個人が直接負わなくてもよくなります。ただし、直接その企業の債券を買うのに比べると、預金の利息は低くなりがちというデメリットもあります。
2013.05.12(日)
text:Yoko Hanawa
photograph:Fotolia